「 niko and ... COFFEE 」
酒勾隆

最近は「ニコパン」が看板メニューになりつつある〈niko and ... 〉に併設するカフェ。スペシャルティコーヒーを取り扱う「ハニー珈琲」から仕入れた豆で淹れる本格コーヒーを手頃な価格で楽しめる。淹れ方は、ハンドドリップかフレンチプレスから選ぶことができ、常時3種類の豆を用意。(株)アダストリアの飲食担当の酒勾は生粋のコーヒー好きで、カフェ立ち上げメンバーのひとり。
niko and ... COFFEE
東京都渋谷区神宮前6-12-20
11:00-22:00
03-5778-3304
「 THE LOCAL COFFEE STAND 」
大槻佑二

Photo_THE LOCAL COFFEE STAND
国内外の各都市で愛される人気ロースター豆に出会える、新しい形のコーヒーショップ。コーヒーを事前に注文できる決済アプリ「O:der」なら、キャッシュレスで淹れたてを飲むことも可能。バリスタを務める大槻氏は、国内最大級のコーヒーの祭典「TOKYO COFFEE FESTIVAL」の発起人。
THE LOCAL COFFEE STAND
東京都渋谷区渋谷2丁目10-15
8:00-19:00(土日祝は10:00-18:00)
03-3409-1158
thelocal2016.com
「 COFFEE VALLEY 」
小池司

Photo_COFFEE VALLEY
池袋初のスペシャルティコーヒー専門店。自家焙煎はもちろん、浅煎り・中煎り・深煎りと幅広くそろえ、3階にはハンドドリップ専門のフロアもオープン。トーストやサンドウィッチなどコーヒーに合う軽食も人気。バリスタの小池氏は、ロンドンで出会ったコーヒー文化のインスピレーションを得て店を開業。
COFFEE VALLEY
東京都豊島区南池袋2-26-3
8:00-22:00(土日祝は9:00-22:00)
03-6907-1173
coffeevalley.jp
instagram
国内外の複数のコーヒー協会が定める評価基準において80 点以上のスコアを獲得した豆に与えられる栄誉ある称号。食品の安全を確保するために、栽培・飼育・加工・製造・流通までの過程を明確にすること、そのサイクルが持続可能であることも重要視された、良質な風味、特性をもつコーヒーのこと。

スペシャルティコーヒーのおいしさを知ってもらいたい。

2013年イオンモール鹿児島に"初のコーヒースタンド併設店”として1号店をオープンした「niko and ... COFFEE」。旗艦店である「niko and ... TOKYO」店をはじめ、台湾、韓国などの海外にまで店舗の幅を広げ、現在は12 店舗に。〈niko and ...〉らしい新しいカフェの在り方を日々探求し続けているのは、(株)アダストリアの飲食担当の酒勾隆。

酒勾 隆さん(以下敬称略):鹿児島に1号店をオープンするにあたって、〈niko and ...〉らしい特別なコーヒーをお客さまに提供したいとおもい、スペシャルティコーヒーに注目したんです。「niko and ... COFFEE」で取り扱う豆は、福岡にあるスペシャルティコーヒー専門店の「ハニー珈琲」から仕入れています。初めてスペシャルティコーヒーに触れるというお客さまにも手頃な価格で、気軽においしさを知ってもらいたいという思いがあります。

大槻 佑二さん(以下敬称略):きっとはじめて飲む方のなかには、いろいろな反応がありますよね。

酒勾:そうなんです。最初はお客さまに「酸っぱい」「うすい」と言われることもありました。でもそうやって率直に言ってもらえるほうが、そこからコミュニケーションが生まれて、豆について説明したり、好みに合ったものをおすすめできるので、ありがたいですよね。

大槻:僕のコーヒーキャリアは6年くらいなのですが、最初は、バリスタ世界チャンピオンがプロデュースする「Paul Bassett」で修行もしました。その「Paul Bassett」がヒカリエにも出店することになり僕も異動したのですが、ヒカリエ内の別店舗で「COFFEE VALLEY」の小池君も働いていて。彼とは当時からの知り合いなんです。

酒勾:そうなんだ、ふたりはお知り合いだったんですね。

小池 司さん(以下敬称略):はい。でもけっこう久しぶりに会うよね。こんな風に対談するのは初めてだし、新鮮な感じ(笑)。

大槻:そうなんですよ。それでヒカリエのあとは、「Paul Bassett」の元で10 年間修行した鈴木清和さんがオープンさせた「GLITCH COFFEE & ROASTERS」を経て、次に行ったのが今の「THE LOCAL COFFEE STAND」。お店では海外や日本中の人気ロースター(※コーヒーを生豆の状態で仕入れて、卸売りまたは小売りをする業者)から仕入れるスペシャルティコーヒー豆をセレクトし、提供しています。

酒勾:大槻さんと言えば、国連大学前広場で行われている「TOKYO COFFEE FESTIVAL」も大盛況ですよね。

大槻:「TOKYO COFFEE FESTIVAL」は2016 年に始めたイベントで、全国各地の有名ロースターや人気コーヒーショップが集まります。僕自身、コーヒーはいろいろなものと相性がいいことを広めたいという思いがあって。コーヒーと音楽、コーヒーとワイン、コーヒーとスイーツといったようにコーヒーだけではない、もっと多様性のあるイベントにしたいと考えています。

小池:僕の「COFFEE VALLEY」も、スペシャルティコーヒーの専門店だからといって固く構えず、お客さまにあわせてコーヒーの幅を広げたいと思っていて。淹れ方もひとつに絞らず、浅煎りから深煎りまでバランスよく揃えています。最近は自家焙煎もはじめてみました。

大槻:「COFFEE VALLEY」がオープンした4年前は、池袋初のスペシャルティ専門店の誕生だって、結構話題になったんですよ。

コーヒーを好きになったきっかけ。

大槻:コーヒーが大好きでとかではなく、僕はラテアートから入ったんです。そこから少しずつコーヒーについても知りたくなってきて、でも最初の動機は単純に「バリスタっていう職業がかっこ
いいな」と思ったことがきっかけですね(笑)。

小池:僕もコーヒー好きだったわけじゃないんですよ。大学卒業後にワーキングホリデーで働いた先のイギリスでたまたま飲んだエスプレッソがおいしくて。そこから一気にハマりました。最初はラテアートを勉強し、帰国後もコーヒーショップで働きたいと思い、大槻さんと出会ったヒカリエのカフェに務め、その後に独立した感じです。

酒勾:同じく、私も最初はコーヒーが苦手でずっとミルクなしでは飲めませんでしたよ(笑)。でも社会人になって、仕事の打ち合わせで出されるコーヒーにひとりだけミルク入れるのが気まずくて(笑)。で、無理矢理ブラックで飲むようにしていたら「あれ、コーヒーって実はおいしい…?」と、すこしずつ自分なりに探求していきました。

いまのお気に入りの1杯を。

各々のこだわりを直に知るには、飲むのがいちばん! 自分の店舗で実際に出しているお気に入りのコーヒー豆を持参し、その場で淹れていただきました。淹れ方ひとつ、豆の選びかたひとつとっても、千差万別。淹れたてのコーヒーを飲みながら、話の続きを伺います。

酒勾:ではまず僕からコーヒーを淹れますね。こうやってじっくりと見られていると少し緊張します(笑)。今日は「niko and ... COFFEE」で取り扱っている、エチオピアの豆で淹れようと思います。ハンドドリップで淹れるときは、ペーパーを使わず金属のメッシュ状のもので淹れるのもうちの特徴です。コーヒー豆から出るオイルまで楽しんでもらいたいので。

酒勾:お客さんのなかにははじめてスペシャルティコーヒーを飲むという方も多いので、ほかとの違いがはっきりとわかるような豆をオーダーしています。ただ、普段飲み慣れてない方もいらっしゃるので、ブレンドはあまりクセの強すぎないバランスのいいものにしています。できました、どうぞ!

小池:オイルがしっかり落ちているのが見た目にもわかりますね。おいしい。

大槻:あぁ…ほっとする味わい。うん、おいしい。

大槻:では次は僕が。お店では全国から月替わりでロースターさんをセレクトし、お客さんにはどのロースターにするかを選んでもらえるようにしています。それは、「THE LOCAL COFFEE STAND」のコンセプトとしても僕自身の思いとしても、豆よりもロースターさんを紹介したいと思っているからです。

大槻:今日持ってきたのは、長崎県の「カリオモンズコーヒー」の豆です。ダイレクトトレードのシールがパッケージに貼ってありますが、これは、ロースターさんが現地まで行って直接買っている証なんですよ。生産者と直接やり取りをするというのは、農家さんとの信頼関係がないとできないことですし、現地まで行く時間や費用を考えても並大抵の労力と努力じゃないと思います。

酒勾:それはすごいですね。

大槻:こういう誠実ですばらしい仕事をされるロースターさんの存在が少しでも広まればいいなと思っています。これは、エルサルバドルのフェルナンドさんという方が育てた豆ですね。できました、どうぞどうぞ。

小池:うまっ。

酒勾:おいしいなあ。

大槻:浅煎りで、明るい酸味とほどよい甘さが広がって、コーヒーが冷めてから味の変化が楽しめます。僕の仕事は、ロースターさんそれぞれの焙煎のよさを壊さないように抽出すること。ハンドドリップはバリスタの技量でよさを引き出すことも、壊すこともあるので、毎回身が引き締まります。

小池:では僕も準備しますね。うちは基本的にフレンチプレスで淹れています。今日はコロンビアのアグプロセム農協で採れたカスティージョという品種の中煎りを持ってきました。
なぜこの豆を選んだかというと、まず第1に自分が行ったことのある農園だから。ひと言で言うなら、思い入れがあるんですね。豆に対する思い入れや愛着の大きさは、お客さまとの会話の広がりや伝える熱量にも関係してくると思うので、将来的にはそういう豆だけを扱いたいというのも目標です。

小池:第2の理由としては、このカスティージョという品種は1本の樹から採れる収穫量が多く、農家さんは収量が取れて収入源が増えます。僕らはこの豆の収穫量の多さによって安く仕入れられ、お客さまにも手頃な価格で提供できる。そういう多方向にうれしい要素があるんです。今までは日本での味の評価はあまり高くないのですが、近年、農家さんたちが実を摘むタイミングや豆の精製方法などをすごく努力されていて、レベルが格段にあがっているんです。飲んでください。

酒勾:うわ~、思ってたカスティージョのイメージと全然違う。おいしい。

大槻:こうやって話を聞きながら飲むといっそう味わい深いね。

小池:黒糖のような甘さと、ブランデーのような発酵の香りもあって飲みやすいですよね。

左から、「niko and ... COFFEE」、「THE LOCAL COFFEE STAND」、「COFFEE VALLEY」のスペシャルティコーヒー豆を今回それぞれ淹れていただきました。後編では、気になるコーヒーのトレンドや、東京らしさについて、バリスタたちが語ります。