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連載

Lifestyle with Professionals.


[ 名古屋・前編 ]

細部にまでこだわり
最高のコーヒーをふるまいたい。

コーヒーをよりおいしく飲んでもらうため、日々さまざまな工夫を重ねているバリスタたち。コーヒーを淹れる水質や注ぎ方、カップの形状など細部にまで手をかけ、最高の1杯を提供しています。ドリップ中の心境やこだわりについて、とことん語ってもらいました。

  • Photo_Ari Takagi
  • Text_Noriko Oba
「 niko and ... COFFEE 」
酒勾隆

最近は「ニコパン」が看板メニューになりつつある〈niko and ... 〉に併設するカフェ。スペシャルティコーヒーを取り扱う「ハニー珈琲」から仕入れた豆で淹れる本格コーヒーを手頃な価格で楽しめる。淹れ方は、ハンドドリップかフレンチプレスから選ぶことができ、常時3種類の豆を用意。(株)アダストリアの飲食担当の酒勾は生粋のコーヒー好きで、カフェ立ち上げメンバーのひとり。
niko and ... COFFEE
愛知県名古屋市東区矢田南4-102-3
イオンモールナゴヤドーム前2F
9:00-22:00
052-725-6799
「 TRUNK COFFEE 」
鈴木康夫

コーヒーの本場であるデンマーク・ノルウェーで活躍したバリスタ鈴木康夫氏がオーナーを務める「TRUNK COFFEE」。北欧ヴィンテージのインテリアの店内でスペシャルティコーヒーを味わえるのも魅力。現在、名古屋市内に3店舗を展開。「FUGLEN」東京店を立ち上げたメンバーのひとりでもある鈴木氏は「TRUNK COFFEE」で自社のオリジナル製品や、コーヒー器具の開発にも力を入れている。
TRUNK COFFEE & CRAFT BEER
愛知県名古屋市中区上前津1-3-14
11:00-23:00
052-321-6626
「 KANNON COFFEE 」
内山萌

愛知県名古屋市に2店舗、神奈川県鎌倉市に1店舗をそれぞれ展開するコーヒースタンド「KANNON COFFEE」。手頃な価格で飲めるハンドドリップコーヒーと、「KANNON BAKE」で焼いた手作りの焼き菓子が幅広い年齢層に支持されている。イートイン・テイクアウトともに可能。バリスタの内山氏は、お店の雰囲気に惚れ込み入社。
KANNON COFFEE
愛知県名古屋市中区大須2-6-22
11:00-19:00
052-201-2588
国内外の複数のコーヒー協会が定める評価基準において80 点以上のスコアを獲得した豆に与えられる栄誉ある称号。食品の安全を確保するために、栽培・飼育・加工・製造・流通までの過程を明確にすること、そのサイクルが持続可能であることも重要視された、良質な風味、特性をもつコーヒーのこと。

コーヒーがつなぐ“縁”。

酒勾 隆さん(以下敬称略):はじめまして。「niko and ... COFFEE」の酒勾です。今日は、お集まりいただきありがとうございます。世界で活躍しているバリスタの鈴木さんにお越しいただき、とても緊張しています(笑)

鈴木康夫さん(以下敬称略):いやいや、気にしないで気軽に話して。僕はもともとデンマークでバリスタを始めたんだけど「Fuglen Tokyo」が日本に来たのをきっかけに、帰国してそこで働いてたんですよ。いまは地元の名古屋市内で、本店の「TRUNK COFFEE BAR」、コーヒースタンドの「TRUNK COFFEE ROASTER」、クラフトビールが飲める「TRUNK COFFEE & CRAFT BEER」3店舗のオーナーをやってます。

内山 萌さん(以下敬称略):「TRUNK COFFEE」や鈴木さんのことをコーヒー業界で知らない人はいないんじゃないでしょうか! 私も今日お会いできて嬉しいです。

酒勾:内山さんは「KANNON COFFEE」で働く前は、〈niko and ... 〉にいたんだよね。

内山:そうなんです! まさに今いるこの場の「niko and ...イオンモールナゴヤドーム店」で、学生のとき販売員として働いていました。ここでお話できることに不思議なご縁を感じています!

鈴木:えっ! それはすごい偶然だね。

内山:いまは「KANNON COFFEE」の2号店、「KANNON BAKE」でバリスタをしてます。数年前、たまたまお店に入ったときに自分が働くのはここしかない! とひと目惚れして2年前に入店したんです(笑)。

おいしさを伝えたい。と思う気持ちをコーヒーに込めて。

酒勾:では、さっそくですがおすすめの1杯を僕から。今日は、エチオピアのコチャレという豆をフレンチプレスで煎れていきたいと思います。僕がはじめてスペシャルティコーヒーに出会ったのは、4年ほど前になります。確かインドの豆だったと思いますが、そのときの衝撃がすごかったんですよね。まるで葡萄フレーバーの紅茶を飲んでいるような、はじめての味わいで。この衝撃をお客さまとも共有したい、スペシャルティコーヒーならコーヒーが苦手だった人も好きになってくれるかもしれない! と思い、そこからさまざまなロースターさん(※コーヒーを生豆の状態で仕入れて、卸売りまたは小売りをする業者)を吟味し、福岡のスペシャルティコーヒー専門店「ハニー珈琲」で焙煎した豆を仕入れています。できました、どうぞ。

内山:いい香りがします。冷めてくるとまた違う味わいが感じられるので、ゆっくり飲みますね。

鈴木:この品種ってもっと重厚感があって、発酵の香りのイメージが強いんだけど、これは完熟度合いもちょうどいい。酸味もありながら甘さも感じられて、すごくクリーン。いいですね。

酒勾:コーヒーの風味を評価するカッピングに慣れている方は、しっかりと味を拾ってくれるのでうれしいですね。僕らがお店で出すときもお客さまに説明したあと、いま言った特徴を意識してみてくださいとお話しています。「あぁ~言われてみれば!」と反応してくださる方もいて、そういう頭と舌の感覚が一致する瞬間って楽しいですよね。

内山:次は私が淹れますね。わたしが持ってきたのはグアテマラのラ・ボルサです。コクがあって酸味もあるのが特徴で、キレのいい後味のよさでお菓子にも合うと人気です。お店には観光客の方や近所の方も来てくださり、ありがたいことに平日でも込み合っているのですが、ドリップするときだけは、すっと心を静かに集中して、清らかな心で淹れるように心がけています。気持ちがざわついてしまうとコーヒーの味にも影響してしまいそうで。1杯ずつおいしくなって! という気持ちで向き合っています。

酒勾:深みがあってすごく飲みやすいですね。うちでも、飲みやすさを重視したブレンドコーヒーを出しています。スイーツとの相性もいいですよね。

鈴木:僕は普段浅煎りばかり飲むんだけど、このくらいの焙煎のものを飲む機会がほとんどないから、新鮮に感じるな。

左から、「niko and ... COFFEE」、「KANNON COFFEE」、「TRUNK COFFEE」が用意したコーヒー豆。

とことんこだわり抜いて、1杯のコーヒーが完成する。

内山:さっきから思っていたのですが、鈴木さんのドリッパーかわいいですね!

鈴木:ありがとうございます。これは僕が開発したんです。いままでコーヒーの道具って男性的なデザインのものが多かったでしょう? どうやったら女性のコーヒーファンをもっと増やせるかを考えたときにデザイン性も大事だと思って。熱伝導率や放射率など機能性を語り出せばキリがないんだけど、「かわいい!」って手に取るのが入り口になればそれがいちばんかなって。

鈴木:今日僕が持って来たのはホンデュラスのクレセンシオという豆です。最初にペーパー全体にお湯を注ぎますが、これはドリッパーを温めると同時にペーパーを洗う作業でもあるんです。ペーパーの匂いがコーヒーに溶け込んでしまうと、せっかくのスペシャルティコーヒーの豊かな香りが損なわれてしまうので。ペーパーの温度によってコーヒーの温度も左右されてしまい、味わいも変わるのでそれを避けるため、お湯を最初に注いでいるのも理由のひとつです。

鈴木:ちなみにいまは93度に合わせようとしています。これは水質や焙煎してからの日数いろいろ考慮して決めています…ってマニアックすぎるよね(笑)。でもコーヒーは本当に繊細で、抽出温度、抽出時間、注ぎ方でまったく味が変わってしまうんですよ。

内山:香りが漂ってきました。いただきます! あぁ、いい果実感ですね。酸味も感じます。

酒勾:液体の質感もすごくやわらかくて、ちょっとトロっとした感じも絶妙ですね。さわやかで明るい酸味。

鈴木:この豆は、初代バリスタチャンピオン・ロバートトーレセン氏のノルウェーにある会社から仕入れています。スペシャルティコーヒーというのは、世界基準の審査で80 点以上を満たす豆という定義があるけれど、それだけじゃダメなんだよね。どこの誰がつくってどう仕入れるのか、生産から流通までの透明性。今年は良質だけど来年は悪いというのはダメで、安定していい豆が作れるかどうかの継続性の両方が大事。

酒勾:野菜と一緒ですよね。どこで誰が作ったのか、産地の特徴が出ている素材は信頼できます。

後編は1/18(金)公開予定です。お楽しみに!