「 niko and ... COFFEE 」
酒勾隆

最近は「ニコパン」が看板メニューになりつつある〈niko and ... 〉に併設するカフェ。スペシャルティコーヒーを取り扱う「ハニー珈琲」から仕入れた豆で淹れる本格コーヒーを手頃な価格で楽しめる。淹れ方は、ハンドドリップかフレンチプレスから選ぶことができ、常時3種類の豆を用意。(株)アダストリアの飲食担当の酒勾は生粋のコーヒー好きで、カフェ立ち上げメンバーのひとり。
niko and ... COFFEE
三重県津市高茶屋小森町145
イオンモール津南1F
10:00-21:00
059-253-2110
「 OTOMONI COFFEE 」
岩田泰広

Photo_OTOMONI COFFEE
コーヒー好きが高じて独学で焙煎を始め、2012年に三重県松阪市に「otomoni coffee」をオープン。2017年5月末に、松阪市にあるゲストハウス内に移転し、浅煎りのスペシャルティコーヒー専門の店として開店。店ではそれぞれの豆の個性を活かした焙煎方法でご用意。オンラインでも豆を購入することができる。
OTOMONI COFFEE
三重県松阪市中町1857-4 
11:30-18:00(weekday)
8:00 -18:00(weekend)
不定休
otomoni.com
「 NaYA coffee 」
角谷優樹
角谷恭子
角谷恭子

Photo_NaYA coffee
田園風景が広がるのどかな三重県伊勢市に2016年オープン。祖父が所有していた農機具の納屋をカフェとして改築。夫の優樹氏が焙煎した豆を妻の恭子氏がドリップし、ふるまっている。店内では5種類のオーダーコーヒーと1種類の本日のコーヒーを用意。豆は100g単位から購入できる。
NaYA coffee
三重県伊勢市植山町74-5
10:00-16:00 日・月休
0596-37-0220
@naya_coffee
国内外の複数のコーヒー協会が定める評価基準において80 点以上のスコアを獲得した豆に与えられる栄誉ある称号。食品の安全を確保するために、栽培・飼育・加工・製造・流通までの過程を明確にすること、そのサイクルが持続可能であることも重要視された、良質な風味、特性をもつコーヒーのこと。

三重県ならでは?! “納屋”がカフェに!

酒勾 隆さん(以下敬称略):東京・名古屋と続き3エリア目の今回は、新たにオープンしたここ三重県「niko and ... イオンモール津南店」にて、コーヒー店主の方々にお集まりいただきました。「niko and ... COFFEE」は三重県初出店、スペシャルティコーヒーをはじめて飲む方にもコーヒーの新しい味や発見、僕らのこだわりを広められたらと思っています!

岩田泰広さん(以下敬称略):僕の三重県松阪市にある「OTOMONI COFFEE」は、ゲストハウスの1階でコーヒースタンドとして営業しています。前からコーヒーを飲むのが好きで、見よう見まねで独学で勉強し続け、気が付いたら7年が経っていました。 使われていなかった“祖母の納屋”でコーヒーを淹れてお客さまに提供したのがスタートでした(笑)。

角谷恭子さん(以下敬称略):そうなんですか! わたしたち夫婦で経営している「NaYA coffee」も店名の通り、もとは納屋だった場所を改築してカフェにしました。岩田さんも納屋がはじまりだったんですね。

岩田:トラックや耕運機の入っていた納屋を改装して、そこに豆を並べる棚を設けてコーヒーを販売していました。深煎りが主流だった当時は「うまく焙煎できているのかな...」という不安もありました。2年前にいまの店舗に移ったのをきっかけにラインナップをすべて浅煎りに統一して、浅煎り専門のコーヒースタンドとしてオープンしたんです。

角谷優樹さん(以下敬称略):「OTOMONI COFFEE」がオープンするときはすごく話題になったのでよく覚えています。当時の僕は「いつか妻とカフェを出したい」と考えてはいたものの準備段階だったので、「OTOMONI COFFEE」が開店すると聞いてけっこう焦ったんですよね。「自分も早くせな!」って。それではじめた「NaYA coffee」は、オーナーの妻がお客さまにコーヒーを提供しています。僕は朝、出勤前に焙煎した豆を妻に預けるのが日課。

酒勾:出勤前にというのは? 普段は別のお仕事をしているのですか?

角谷(優):平日は農業をしてるんですよ。それもカフェをオープンするタイミングではじめました。それまでは全然違う仕事をしていたのですが、働き方そのものを変えたいと思ったんです。

岩田:コーヒーがお好きでカフェをはじめられたんですか?

角谷(優):コーヒーのおいしさを知ったのも僕はすごく遅かったんです。30歳過ぎまでコーヒーはただ苦いものという認識でいたのですが、禁煙をきっかけにコーヒーの印象が変わり、そこからハマりました。自分でもおいしいコーヒーが焙煎できたらと独学で学んで、“祖父の納屋”をリフォームしてカフェとしてオープンさせた流れは、だいたい岩田さんと同じですね(笑)

角谷(恭):オープンしてからずっと心がけていることは、どんなときでもていねいに焙煎することと、日々おいしいコーヒーの淹れ方を追求することです。

酒勾:祖父母から受け継がれている納屋は、僕からしたら羨ましい限りです(笑)。さっそくですが、それぞれお気に入りの1杯を淹れて、コーヒーを飲みながらお話しましょう。

同じドリップでも淹れ方はこんなに違う。

酒勾:「niko and ... COFFEE」では常に3種類のスペシャルティコーヒーと1種類のブレンドを用意しています。豆の種類はその都度旬のものに変えているのですが、今日はちょうど出ているホンジュラスの豆を淹れたいと思います。これは、昨年の品評会でチャンピオンをとったものなんですよ。


酒勾:コーヒーをどう淹れたらよりおいしくなるのか常に研究していますが、最近定着してきたのは、“壁を壊す”淹れ方。通常、お湯を注ぐとフィルターの内側にコーヒーの粉で壁ができますが、この粉が残らないようにお湯を回し入れて、豆の香りや味わいを余すところなく抽出できるようにしています。どうぞお飲みください。

岩田:しっかりした味わいで飲みやすいですね。

角谷(優):うん、はっきりとした味でおいしい。


岩田:僕が持ってきたのはケニアの豆。ドライトマトやほろ苦いグレープフルーツの香りが特徴です。よかったら香りも嗅いでみてください。僕の場合は、高い温度のお湯を注ぎ、抽出効率を上げることで抽出時間を短縮し、苦みが出てくる前に淹れ終わるようにしています。フレッシュさを感じる味に仕上がっていると思いますがどうでしょうか...。どうぞ飲んでください。

角谷(恭):すごくさわやかで明るい味!

酒勾:確かにケニアらしいさわやかな香りがしますね。おいしいです。

角谷(優):僕らの「NaYa coffee」は、浅煎りに特化しているわけではなく、どちらかというと家で淹れるコーヒーに近い、生活の延長線上にあるような味わいです。今日はエチオピアのナチュラルモカを持ってきました。


角谷(優):お湯の温度は95度で、お湯を注ぎ中央がふっくらとハンバーグのようになった後、割れて落ち着くのを待ちます。先ほどの酒勾さんの壁を壊す淹れ方とは逆で、うちはフィルターの内側にできた粉は壊さないように淹れています。

酒勾:温度や蒸らし方、注ぎ方どれも全員違いますね。これが正しい淹れ方という絶対の正解があるわけではないので、それぞれのやり方を見るのはいい刺激になります。昔話にある『ツルの恩返し』じゃないですが、誰も見てはいけない秘密の作業を見ているようなスリルも感じます(笑)

岩田:真剣な視線を感じるからか、何だか普段より緊張しました(笑)。淹れ方にも焙煎にも正解がないからこそ、地道に自分で淹れながらデータを積み上げていくしかない。独学で孤独にやっていると、正直、人のデータが喉から手が出るほど欲しいときがありますよ(笑)。

角谷(優):よくわかります。まだおいしくなるんじゃないか、どこを変えたらいいんだろう、毎日その繰り返しですよね。

岩田:はい。たとえば、うちの豆をおふたりが淹れたらどんな味になるんだろう...とか考えてしまったり。今日はそんな好奇心も沸きました。

角谷(優):そういうチャレンジもおもしろそうですね。説明を聞きながらこんなに間近で淹れる様子を見て、本当に勉強になったな。

同じバリスタ同士だからこそ、お互いの淹れたコーヒーを飲むだけでその情熱やこだわりが伝わってくるようで、話にも自然と熱気が帯びてきました。後半もまだまだコーヒー談義は続きます!