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連載

Lifestyle with Professionals.


vol.10

Dish Up! 特別編

器を知ると、毎日の食がもっと楽しい!
いま注目したい6名の器作家をご紹介。

料理家のキッチンとレシピを紹介する連載企画「Dish Up!」がついに10回目に突入! 今回は、食に欠かせない“器”の魅力を伝えるため6人の器作家をご紹介します。「niko and ... COFFEE」商品開発担当の酒勾 隆が、気になるあれこれをQ&Aにてそれぞれの作家に伺いました。こだわりのある器を、日々の暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか?

  • Photo_Nahoko Morimoto
  • Text_Mari Katsura

#01 factory zoomer・辻 和美さん
(ガラス作家)

型にはまらない自由な発想のガラス。

どこか懐かしさのある佇まいが魅力のガラス作家の辻和美さん。カリフォルニア美術工芸大学で吹きガラスを学び帰国後、金沢卯辰山工芸工房を経て、ガラス制作スタジオ『factory zoomer』を設立。制作のかたわら、金沢市内でショップやギャラリーの経営もしています。

酒勾 「ガラス作品の中でも、辻さんの作品は、その絶妙な色合いなどずば抜けた魅力に満ちていて惹かれました。作風やガラスに対する知識、表現の幅の広さをとても感じます」。

庭で摘んだミントと
炭酸水を入れたハーブウォーターを。

Q1 ガラスの魅力に惹かれたのはいつ頃からですか?

辻さん  CCAC(カリフォルニア美術工芸大学)時代、ガラス工芸に出会ったときから惹かれはじめました。

Q2 頭に浮かんでいる色をガラスで再現するのは難しいことなのでしょうか?

辻さん  小さな工房ではオリジナルの色を調合して作るのは難しいんです。海外から取り寄せた、ガラス棒の量を調節してさまざまな色をつけています。色の組み合わせが楽しくなって、ボーダーの片口やランプを最近の個展に必ず出しています。6月の金沢での色をテーマにした個展では、50色ほどの色を集める予定です。

半透明のパステルな色合いは、口直しのゼリーにも。

Q3 今回お借りしたグラスや器にテーマがあれば教えてください。

辻さん  うしろ3つのグラスは、京都の〈Kit(キット)〉で個展をしたときの作品で、昔のプラスチックのカップを写したもの。かつてガラスからプラスチックになったものをまたガラスにしてみるのもいいかな、と。ゼリーがのっている小さな茶杯は、台北の〈小慢(シャオマン)〉という茶芸館で個展をしたときのもので、台湾の南国フルーツや市場、花などからイメージされる色を落とし込みました。ギャラリーのオーナーと話すことでもテーマの方向が決まって行きます。

Q4 金沢の街は、伝統の趣をいま現在まで継承していると思うのですが、辻さんの作品にも金沢とのつながりはありますか?

辻さん  作品に繋がりがあると考えたことはないんです。生まれ育ったところなので住んでいるだけですが、幼い頃から加賀友禅や九谷焼、輪島塗といった生活工芸に囲まれているのが当たりまえの土地で育ったのはありがたいことだな、と思っています。


#02 竹村良訓さん
(陶芸家・修復家)

アートパレットのような器。

陶芸家・修復家としてどちらの顔ももつ竹村 良訓さん。文化財修復や古陶芸の研究・復元制作も努めながら、漆芸技法の応用による、陶磁器・漆器修復にも携わっている興味深い経歴の持ち主。その傍ら、陶房「橙」で一般向けの陶芸教室も行っているとのこと。

酒勾 「僕は使ってはじめて器のよさを感じることが多いのですが、竹村さんの作品は、見ているだけでも楽しい。発色がとてもいいので、いま注目のベランピングでも映えそうですよね」。

ベランダで楽しむ、ちょっと贅沢なおやつタイム。

Q1 美大出身とのことですが、元々もの作りに興味があったのでしょうか?

竹村さん  こどもの頃から、自分のおもちゃを工作していましたね。器の制作もその延長線にある気がします。

Q2 竹村さんの作品に”まったく同じもの”って、もしかしてないんですか?

竹村さん  同じものはほとんどないです。器のかたちから得たインスピレーションをもとに、ボディに服を着せるような感覚で色付けをしていますね。なので、常に新しいかたちや色を研究しています。

花器として生ければいつもと違った表情に。

Q3 同じ色や形を揃えたいというファンもいらっしゃいませんか?

竹村さん  コピーすることにはあまり興味を感じていません。再現性のない制作というのはテーマであり、その面白さを伝えたいと思っています。

Q4 カラフルで見ていてとても楽しい気持ちになりますが、竹村さんも作っていて楽しくなることはありますか?

竹村さん  とくに最後に窯から出てくるときが、楽しいと感じる瞬間ですね!


#03 二階堂明弘さん
(陶芸家)

“侘びのいま”をかたちにした器。

文化学院芸術専門学校陶磁科を卒業し、2002年は益子町、2015年からは千葉の房総にて作陶を続けている二階堂明弘さん。2010年全国の若手陶芸家が集う「陶ISM」を主催したり、料理家・野村友里さんのレストラン「eatrip」で使用されていたりと、いま注目が集まっている作家です。

酒勾 「かたちにとらわれない感覚で作陶なさっている印象の作品に惹かれました」。

いつものサラダとパンをのせるだけで
雰囲気ある佇まいに。

Q1 陶芸との出会いは?

二階堂さん  札幌に住んでいた小学生の頃、親に連れられ陶芸家の方を訪ねたのが陶芸との出会いです。当時、今ほど陶芸の裾野は広くなく、学校やテレビでは教えてくれない陶芸家をはじめて見て、土いじりをして仕事になるんだと、こども心に新鮮でした。

Q2 この黒い器は土器ですよね? 薄いのに感じる重厚感と、重そうに見えるのに繊細な質感はどのようにして生まれたのでしょうか?

二階堂さん  土器ではなく、高温で焼いた陶器なんです。薄くひいた素地に、鉄が主体の釉薬(ゆうやく)を刷毛で塗って焼いています。僕は、薄く軽やかなかたちでありながら、深く重みのある色をまとわせたものを、錆器(しょうき)と呼んでいますね。

ざっくりとフルーツを盛るだけ。

Q3 私はお客さまに生産者の思いが伝わるよう、コーヒーを1杯ずつハンドドリップして淹れることを大切にしています。二階堂さんが器を通じて伝えたい事はありますか?

二階堂さん  器とは、”使うアート”だと思っています。1万人いれば、1万通りの使い方や可能性、生活を楽しむ方法がある。器になにかを入れるとき、その何に想いを馳せるのか。それだけで、日常を何倍も豊かにすることができると。使う人自身を豊かにする、そんな器であればと思っています。


#04 Hanamame三浦孝之・潤さん
(木工・陶芸家)

触れて癒される木の器。

2006年から孝之・木工、潤・陶芸の制作を始め、現在は東京・高尾山近くに「Hanamame」工房をかまえる三浦孝之さんと、陶器をつくる妻の潤さん。木と陶を融合させた、あたたかな温もりのある作風が人気です。

酒勾 「三浦さんの作り出す木彫りの作品には、大量生産では感じられない表情豊かな個性があります。木の器ならではのよさ、使い込むほどに出る味、そんなところにも惹かれます」。

胡椒入れにはお菓子を忍ばせて、
マグにはお気に入りのコーヒーを。

Q1 木のマグが生まれたきっかけは?

三浦さん  薪ストーブ用の丸太を集めているとき、燃やすだけではなくもっと有効な利用方法がないか?と考えて、木のマグを作りはじめました。クリ、クスノキ、サクラ、クルミなどさまざまな間伐材を使用しています。

Q2 おすすめの楽しみかたはありますか?

三浦さん  「おいしいコーヒーやお酒をアウトドアで飲みたい」と思ったのが、この木にカップを作りはじめたきっかけなんです。日常の食卓はもちろんですが、アウトドアのシーンでもぜひ使ってみて欲しいです。

いま食べなくても、いつか食べるときのために。

Q3 作っていてよかったなって思うのは、どんなときですか?

三浦さん  作るという作業自体も楽しいですが、やはり買ってくれた方から喜びの声を直接聞いたときです。これがあるからやめられない(笑)。

Q4 お手入れはどのようにすればいいんですか?

三浦さん  使ったらなるべく汚れが落ちやすい早い段階で洗い、乾かしてから、風通しのいいところで保管してください。ときどき、食用油を塗りつけて油分を補っておくと、長く使えますよ。


#05 山本拓也さん
(陶芸家)

ベーシックだけど新鮮な、シーンを選ばない器。

大阪芸術大学工芸陶芸コース卒業後、兵庫県篠山市の陶芸工房に勤務。「静謐で落ち着きのある日常使いの器」をテーマに制作している、山本拓也さん。モノトーンで幾何学的なかたちが男女どちらからも支持されています。

酒勾 「シンプルな見た目が印象的で、使いやすさも考えられた器だなと感じた作品たちです。独特の質感に柔らかさ、温かさもあってとても気になりました」。

塩おむすび、漬物にお茶と、
とことんベーシックで揃えて。

Q1 陶芸との出会いや、陶芸の道に進むきっかけは?

山本さん  大学受験のとき、将来はなにかモノを作る仕事がしたいと思い、工芸学科陶芸コースを選択したんです。なので、陶芸との出会いときっかけは、大学に入ったときですね。

Q2 作品のインスピレーションは、デザインが先? それとも器に盛り付ける料理が先ですか?

山本さん  デザインが先かなと思います。料理や盛り付けのことはそれほど深く考えていないのかもしれません。インスタグラムなどのSNSで、自分の器を料理できれいに飾り付けていただいたものをアップしてもらっているのを見ると驚きますね。とても嬉しい驚きです。

器とおなじ、幾何学的なかたちのお菓子をチョイス!

Q3 日常使いができる器に、個性を持たせるのはとても難しいことだと思うのですが、どのようなことを意識して制作しているのでしょうか?

山本さん  いま、制作している作品の多くは、それほど特徴的なデザインのものはなくベーシックでシンプルなものがほとんどです。”手で制作している”ことで、自然と個性は出るものだと考えています。実際、器を手にとっていただく方は、細部や微妙な色の違いにも気付かれることが多いんです。

Q4 今後取り組んでみたいと思うことありますか?

山本さん  酒器や花器など、用途の限定されたものを作ってみようと思っています。


#06 苔色工房・田中遼馬さん
(陶芸家)

遊び心あふれるモチーフ絵皿。

大学在学時から陶芸をはじめ、2008年に個展や企画展、クラフトフェア等への参加をスタートし、かわいい柄で多くのファンに支持されている田中遼馬さん。2013年からは東京都上池袋に「苔色工房」という、工房+小さなお店を構えています。

酒勾 「動物や食べ物のキュートな絵柄が、〈niko and ...〉のお客様にぴったりだなと思いました。いまはとくに白くまやペンギンが人気だと聞きましたが、アイデアが尽きなさそうですね」。

ツバメ柄のお皿と箸置きなら食卓がより楽しい!

Q1 器のイラスト柄にまず目がいってしまうのですが、柄は陶芸と一緒に学ばれたのでしょうか?

田中さん  柄も陶芸も両方独学です。陶芸は大学からですが、イラストは子どもの頃からちょこちょこ描いていました。

Q2 描かれる動物や食べ物は全部ご自身の好きなものですか?

田中さん  そうですね。食べ物ならかたちや味も含めて好きなものを、動物も好きなものを柄に選んでいます。

素朴な和菓子も、
ペンギンの柄の器でちょっぴりポップな雰囲気に。

Q3 柄だけでなく、器からも温かみを感じるのですが、素材や技法について教えてください。

田中さん  素材は益子の白土を使い、釉薬はマット調に仕上げることで柔らかい印象になるようにしています。柄は、”掻き落とし”という技法を使っているのですが、手順は長くなってしまうので公式サイトに載せている手順をみていただけたらとおもいます。

Q4 今後取り組んでみたいと思う事ありますか?

田中さん  森や海の動物、植物などなど、シリーズとして展開していきたいです!