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連載

Lifestyle with Professionals.


vol.8

あゆみ食堂・大塩あゆ美さんの

身体温まるピリ辛鍋と常備菜。

食べ手と日本の生産者とのつながりを大切にする家庭料理が人気の出張食堂「あゆみ食堂」の大塩あゆ美さん。「料理が真ん中にあると、初対面でも仲良くなれる。みんなで食べるものを作るのが好き」と話す、明るくて温かな彼女の人柄が料理からも感じられます。家にある食材でも簡単に作れて、身体が温まる鍋料理と常備菜を教えてもらいました。冷めてもおいしい常備菜は、お弁当にもおすすめです。 

  • Photos_Nahoko Morimoto
  • Text_Mari Katsura

日だまりがさす大塩さんのアトリエ。

大塩さんが「家でいちばん好きなコーナー」という一角。レトロな雰囲気のキッチンの隅に、かわいらしいオブジェやきれいな色の器が並んでいます。民芸品から気鋭の作家の作品が調和したこの空間は、まるでギャラリーのよう。ガラスの器はハンドメイドで1点1点つくられている〈FLASKA(フラスカ)〉のもの。〈まめに暮らす野の暮らし研究所〉で育てられた野菜と一緒に送られてきたミモザとティーツリーが、ちょっと早い春を告げています。

デザイン事務所やギャラリーへのケータリングも多いので、クリエイターとの出会いがよくあるという大塩さん。そこで出会ったDIYが得意な知人に、作業スペースを広げる木のチェストを作ってもらったんだそうです。光溢れるキッチンで作業もはかどります。

壁には素敵な家族写真が飾られていました。大塩さんの実家は昔、伊豆で旅館を営んでいたそうで、この写真は旅館を閉める前にカメラマン浅田政志さんに撮影いただいた想い出の1枚なんだそうです。どこか懐かしく、温かさのある大塩さんの背景が垣間見えました。

自宅のあちこちに飾られていた富士山モチーフのコレクションは、友人たちからの贈り物。大塩さんのアイコンである富士山モチーフのものを見かけた友人たちが、思わず買ってしまったそうです。大塩さんが富士山をご自身のアイコンとして掲げている理由は、友人のイラストレーターMogu Takahashiさんが「あゆみ食堂」のロゴを作ってくれて、そのモチーフがなぜか富士山だったんだとか。大塩さんは、名刺やSNSなどいろんなシーンで、そのイラストを使用しています。

身体の芯から温まる鍋とかんたん副菜レシピ。

野菜たっぷり豚ひき肉のピリ辛鍋

調理時間が短縮できて、野菜をたくさん摂ることができる大塩さんの技は、根菜をピーラーでリボン状にしておくだけ! 〆に中華麺を入れて担々麺に。青と茶色の2ピースがセットになっている夫婦茶碗は、「万能な大きさなので、お茶碗としても使えてスープや麺料理にも重宝しそう」使用した出汁は、2リットルの水に煮干し10匹、昆布10センチを2枚をひと晩置いたもの。漉してペットボトルに入れて冷蔵すれば、2~3日保存できます。

[材料](4人分)
キャベツ 1/4個
ニラ 1束
人参 1本
大根 1/4本(400g)
豆腐 1丁
豚ひき肉 500g
長ネギ(青いところも含むみじん切り) 1本
しょうが(すりおろし) 50g
ごま油 大さじ4
花椒(包丁で粗みじん切り) 小さじ1
豆板醤 小さじ4(辛さは好みで調整)
酒 1/2カップ
出汁(煮干しと昆布) 6カップ
うす口醤油 1/2カップ
みりん 1/4カップ
白すり胡麻 適量
[作り方]
1) キャベツはざく切り、ニラは3~4cm幅に切り、人参と大根はピーラーを使ってリボン状に、豆腐は食べやすい大きさにそれぞれ切る。
2) 鍋に、ごま油・花椒を加えて中火にかけ香りが立ってきたら、しょうが・長ねぎ・豆板醤を加えて香りがたつまで炒める。
3) 2に豚ひき肉と酒を加えほぐしながら色が変わるまで炒め、出汁・みりん・うす口醤油を加えて強火でひと煮立ちさせて火を止める。
4) 3の鍋に1の具を加えて火が入るまで煮たら、白すりごまをまぶして取り分ける。
※2)3)は冷凍保存も可能。

ほうれん草とピーナッツ黒酢

大塩さんが訪れた近所の中華料理屋さんの前菜が気に入って再現してみたという一品。黒酢のやわらかい酸味と、ザクザク大きなピーナッツの食感がクセになり、箸が止まらなくなります。「青い器にはのせるものを選ばない懐の広さを感じる」と大塩さん。

[材料](写真の分量)
ほうれん草 1束(150g)
素炒りのピーナッツ 25g
黒酢 大さじ1
醤油 大さじ1
メープルシロップ 小さじ1
米油 大さじ1
[作り方]
1) ほうれん草は全体を水に浸して根元の部分までしっかり汚れを落とす。ピーナッツは薄皮まで剥いておく。
2) 鍋に湯を沸かし塩(分量外)を入れ、1のほうれん草の茎を10秒ほど入れてから、全体を沈めて30秒ほど茹でる。鮮やかな緑色になったら冷水に入れてしっかりと冷ます。
3) 2のほうれん草をしっかり絞り、3~4cmほどに切る。
4) ボウルに黒酢・醤油・メープルシロップを入れてしっかり混ぜ合わせて、3を加えて和える。
5) フライパンに1のピーナッツと米油を入れて中火にかける。ピーナッツがほんのり色づいて香ばしい匂いがするまで揚げ炒めたら、4を加えて完成。
※すぐに焦げてきてしまうので、火加減に注意。心配な場合は弱火でやると良い。

りんごとさつまいものサラダ

りんごとクルミの食感、サワークリームとレモン汁がアクセントのサラダは、鍋の箸休めにぴったり。清涼感の増すローズマリーはお好みで加えて下さい。さつまいもを軽くマッシュすれば、サンドイッチの具にもなります。出番の多い楕円形で深さもある器は、煮物などにも重宝します。

[材料](4人分)
さつまいも 1本(200g)
りんご 1/4個
素煎りのクルミ 20g
マヨネーズ 大さじ2
サワークリーム 大さじ2
レモン汁 小さじ2
太白ごま油 小さじ2
塩 少々
胡椒 少々
ピンクペッパー 7粒ほど
ローズマリー(みじん切り、あれば) 少々
[作り方]
1) さつまいもは皮ごと2cmほどの厚さに切って、蒸し器で竹串が通るまで蒸し木べらで粗めに潰し、塩・胡椒・太白ごま油を加えて和えたらあら熱を取っておく。
2) りんごを縦半分に切り、厚さ5mmのいちょう切りにして、塩水に5分ほどさらす。クルミはざく切りにする。
3) ボウルにマヨネーズとサワークリーム、レモン汁を入れて混ぜ合わせたら、1と2を加え木ベラでざっくり混ぜあわせる。
4) 3を皿に盛り付ける。ピンクペッパーとあればローズマリーを散らして完成。

甘酒入りだし巻き卵

だし巻き卵に甘酒を加えたら、旨味も増して目から鱗のおいしさに! あれば、紅芯大根や大根をおろしたものを添えれば見た目も華やかになります。ほうれん草とピーナッツ黒酢と同じ器を使用していますが、盛り方次第でぐっと違った印象に。

[材料](写真の分量)
卵 3個
出汁 大さじ3
甘酒 大さじ1
うす口醤油 大さじ1
米油 適量
[作り方]

1) ボウルに卵を割り入れて菜箸で溶きほぐし、出汁・甘酒・うす口醤油を加えてさらに混ぜ合わせる。
2) 卵焼き器に米油を入れて中火にかけ、温まったらフライパン全体に油をなじませる。火を弱火にして卵液を流し込み、固まってきたらフライパンの奥から手前に少しずつ巻いていく。巻き終えたら奥にずらして、少量の油をキッチンペーパーでなじませ卵液を加えて先ほどと同じように2〜3回繰り返して巻いていく。
3) 2が焼けたらまな板に置き、10分ほど落ち着かせてから食べやすい大きさに切る。

料理家・大塩あゆ美(おおしおあゆみ)
『エジプト塩』で知られるたかはしよしこさんのもとで修行をし、独立。出張料理「あゆみ食堂」としてケータリングなどでも活躍。家庭料理にひと工夫加えたレシピが人気。著書『あゆみ食堂のお弁当23人の手紙からうまれたレシピ』(文化出版局)も好評発売中。
Instagram:@ayumishokudo