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連載

Lifestyle with Professionals.


vol.1

お店をつくるとき、大切にしてること。

驚きや発見に「であう」、やがて自分の暮らしに「にあう」。 そんなブランドのメッセージや世界観を表現するために 〈niko and ...〉のショップはどのように作られているのか? チーフスペシャリストVMDディレクター・魚住岳寿が語る カッコよくて、ワクワクするお店の作り方。

VMDという仕事

はじめまして。〈niko and ...〉のチーフスペシャリストVMDディレクターの魚住岳寿です。この連載では、僕らがどうやってショップを作っているのか、そして〈niko and ...〉の空間づくりの秘密を少しずつお話していきたいと思います。

まずVMDって、どういう仕事かみなさんご存知ですか。VMDとは「ビジュアルマーチャンダイザー」の略で、簡単にいうとショップでの商品の見せ方や店頭のディスプレイを統括する職種です。

ちょっと難しい言い方をすると、視覚に訴えながら、お客様の購買を喚起するためのマーケティングをディスプレイを通して実現していく仕事です。だけど、僕の場合は商品の陳列だけでなく、内装の図面も書くし、自分でお店の施工もするし、什器も作リます。だから、一般的に言われるVMDとは少し違うかもしれません(笑)

2007年に福岡の大名にオープンした記念すべき第1号店。

相反する組み合わせ

僕と〈niko and ...〉との出会いは2007年。幸運にも福岡の大名の1号店のオープンにマネージャーというかたちで関わることができました。まだスタッフも少なく、駆け出しのブランドだったので、それこそお店づくりは全員野球(笑)。DIYで売り場を作って、みんなでお店に立つ。そんな感じでした。

その当時のブランドのコンセプトは、“cool and slow life”。古いものと新しいもの。暖かいものと冷たいもの。伝統的なものとトレンドのもの。機能的なものと一見、無意味なもの。相反する要素を組み合わせることで、いい意味でのギャップを演出する。

そして、お客様にサプライズやユーモアとの「であう」や「にあう」を提供する。言葉こそ違いますが、その考え方は “UNI9UE SENSE”という言葉で今も継承されていると思います。ただ、ブランドがスタートした当時は全く余裕がなくって、ひたすら新店を作りながら、身体でブランドコンセプトを吸収しながら、発信していくという感じでした(笑)。

もともとブランドがスタートした当時の〈niko and ...〉は、一店舗ずつ全部内装が違ったんです。金太郎飴的な商品陳列でなくて、その店舗に合わせて、そのときある商品で、いちばんカッコいいと思える売り場を作る。そんなポリシーを持って、みんなでお店づくりに奮闘していました。


福岡大名店(福岡)

博多デイトス店(福岡)
橿原イオン店(奈良)
ららぽーと甲子園店(大阪)
池袋パルコ店(東京)
吉祥寺パルコ店(東京)

効率と本質

しかし、やがてブランドが少しずつ成長して出店が増えるに連れて、最初から最後までお店づくりに関わるということが少しずつ難しくなってきたんですね。例えば、店づくりのある部分を他の部署や業者さんに任せるとか。

仕事が分業化されて効率的になったことで、良くなった部分もたくさんあるんですけど、どうしてもそれだと何か足りない。このままだとお店に対する愛情やブランドの本質が薄れていってしまうんじゃないか? そういう危機感もあって、ブランドができて5年目にVMDの専任になりました。

それこそ、今振り返ると最初のお店なんて全然予算がなくって、少し大袈裟な言い方ですけど、いいモノがあれば、落ちてるものでも拾ってきてディスプレイする。そんな感じだったんです(笑)。

もともと〈niko and ...〉には、人やものの気持ちに立つ、それを大切にするというカルチャーがあります。世の中にあるすべてのものには、必ず誰かの手が加わっているし、人を思いやり、モノを作る人を尊重することでいろんなことに対して丁寧に向き合えるし、初めて人を喜ばすことができる。

ブランドの規模が大きくなっても、原点と本質は忘れちゃいけない。そう思いながら、VMDの仕事を続けているうちに、自分にとってもブランドにとってもターニングポイントとなる大きなチャンスが訪れたんです。(続く)

魚住岳寿
1975年生まれ。神戸市出身。大手アパレルメーカー10年勤務後、2007年より㈱アダストリアの前身となる㈱トリニティアーツに入社。〈niko and ...〉のブランド立ち上げから営業MGR、営業統括MGRを経て、VMD統括MGRとして日本全国100店舗近くのショップの売場づくりに携わる。2014年より旗艦店「niko and ...TOKYO 」を中心に従事。現在韓国の旗艦店や台湾の旗艦店のVMDも定期的に携わっている。