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Lifestyle with Professionals.


vol.10

「たまごの話」。後編

驚きや発見に「であう」、やがて自分の暮らしに「にあう」。 そんなブランドのメッセージや世界観を表現するために 〈niko and ...〉のショップはどのように作られているのか? チーフスペシャリストVMDディレクター・魚住岳寿が語るカッコよくて、ワクワクするお店の作り方。

前編では、見せたいものを「たまご」に置き換えて、棚をどうやって作っているかをお話ししました。今回は、その後編。前回同様、テーブルをどうやってディスプレイしているのかを形や素材に先入観のない発泡剤の「たまご」を使いながら、詳しくお話ししていこうと思います。

1.全体のイメージを考える。

何もないところに何を置く?

テーブルを分割して考えてみる。

全体の構図をイメージする。
まず、はじめに考えることは、どこにどれくらいの量を展開するか? ということ。そして、次に配置のバランスを考えます。たとえば、テーブルを2分割すると、2つの商品群をそれぞれ大きく見せることが可能です。商品群に合わせて3分割、4分割、6分割といった具合に陳列の目安をイメージしておけば、たくさんのアイテムを置いてもまとまりが生まれます。また、遠くからでも視認性が高くなるよう、テーブル上に高さを出すことで、お客様の目線に入りやすくなり、興味を引くことができます。安定感のある三角構成が基本ですが、変則的な構図にすると売場にインパクトやリズムを作ることができます。実際にディスプレイを始める前に、まず頭のなかで完成図をイメージをすることが大切です。

2.見せたいものの場所を決める。

背の高い商品は後ろ。
背の低い商品は左から。

余白を意識する。
什器幅に合わせて、バランスのよい配置を。

売りたいものは見やすい場所に。
手に取りやすい場所。
ここに「たまご」を置きましょう。

前回の棚のお話のときも使用した「たまご」の発泡剤。今回もこれをいちばん見せたいものと仮定し、実際にディスプレイしていきたいと思います。テーブルに陳列するときのポイントは、余白をどううまく使うか? 陳列の基本は「左は低く、右は高く」「背の低い商品は手前、背の高い商品は後ろ」。そして、色の効果を意識し、お互いが引き立つよう暗い色と明るい色を組み合わせる。それでは、最もお客様の手が伸びるテーブルの中央手前に「たまご」を置いてみましょう。

3.関連商品を陳列する。

たまごを食べるときに使う
プレート皿を置こう。

たまごを食べるときに
一緒に出すサラダボウルを並べよう。

たまごにかける塩胡椒を陳列し、
食卓に飾るキャンドルを置こう。

「たまご」を置いたら、次は関連商品の陳列です。たまごを食べるときに必要なプレート皿、一緒に出すサラダボウル、塩胡椒、キャンドルetc.…。主役である「たまご」に関連する商品をひとつひとつ考えながら置いていきます。商品ごとにどのぐらいのスペースを割くかは、最初のイメージをベースに。分割した面積に沿って陳列していけば、量が少なすぎたり、多すぎたりすることなく、バランスよく商品を陳列していくことができます。

4.見せたいものをグルーピング。

たまごの価格に合わせて出す量に変化をつけよう。

続いて、見せたい「たまご」をグルーピング。価格が手頃な小さな「たまご」は大きな入れ物にザクザクと。価格が高く大きな「たまご」はたくさん出さずに整然と。価格に合わせて陳列量に差をつけていきます。

5.全体感を調整する。

高さをつける構図をイメージする。

意外性のあるものを置き、
インパクトを付けてみる。

空いたスペースを
さらにイメージする。

バランスを取って
かごを吊り下げてみる。

テーブルのサイズと
バランスをとって、
さらにカゴを配置してみる。

少しリズムを狂わせて
異素材同系色のアイテムを
吊り下げる。

テーブルでのディスプレイにおいて重要なのが、ひとの目線の高さ。普通に展開すると、どうしても目線が低くなってしまうので、見せたい商品がなかなかお客さまの目に止まりません。そこで、あえて高さをつけて演出を加え、遠くからでもお客さまの目にとまるようにします。情報量の多いショップの中で埋没しないよう、どうアピールしていくか? ワクワクさせられるようなインパクトのある演出や仕掛けを考えることも、テーブルの陳列において重要なポイントです。

6.たまごを見せるためのテーブルが完成。

売り場からお客さまに合図を発信する陳列が完成!

何もないテーブルからはじまり、全体のイメージを考えて、見せたいものの場所を決め、関連商品を陳列しながらグルーピング。価格に合わせた量の調整、そして魅力づけと全体感を調整する。このような一連の流れでテーブルの陳列が完成! それでは、今回もこの基本の考え方を元に作った実際の売場を見てみましょう。

7.実際の売場での事例。

この売り場では、洗濯バサミや洗濯カゴなど、ランドリーアイテムで構成されたシリーズをシンプルに展開しています。まず、横長のテーブルを2分割し、左側に洗濯バサミなどの細かい商品、右側に洗濯カゴなどの大きい商品を並べました。そして、中央のカゴから洗濯物が溢れているような演出を施すことで、シンプルな商品群の単調さをあえて崩しています。また、テーブルに並べた大小の洗濯ピンチハンガーを天井から吊るすことで、サイズや使い方を分かるように。さらに、その後ろに白いTシャツやタンクトップなどを吊るすことで低いテーブルの上の空間を拡張させています。

清潔感とシリーズの世界観を伝えるために、色は白とブルーの2色に絞りました。テーブル上の展開だけでなく、空間を広げて使うことで、お客さまにその売り場のテーマをよりリアルに伝える事ができるようになります。

続いての事例は、食器の陳列。この売り場の「たまご」は、中央に並べた小皿です。食卓を飾るというキーワードから、フォトフレームや植物も一緒に陳列。大きなテーブルにさまざまなアイテムが並びますが、あらかじめ商品ごとに面積を分割して全体感を考えることから売り場作りをスタートさせています。そして、テーブルがのっぺりと見えないよう木箱をテーブル上の什器に。手前を低く、奥を高くリズムを考えながら配置しています。

また、コーナーとして強く打ちだせるようテーブルの幅を意識しながら、天井からタペストリーとプラントハンガーを吊るしました。木箱で底上げしたり、上から吊るしたりと行った縦の演出を加えてはいますが、商品はあくまで見やすく、分かりやすく、買いやすく。お客さまが手に取りやすいよう商品を並べています。

というわけで、「たまごの話」後編、いかがだったでしょうか? 棚であってもテーブルであってもいちばん大切なのは、お客さまにとって見やすく、分かりやすく、買いやすい売り場になっているかどうかということ。そのためには、まず見せたいものを明確にすること。そこに〈niko and ...〉らしいアイデアやDIYのエッセンスを加えることで、ワクワクしてもらえるようなショップを作っていく。いつ訪れても、新鮮な驚きと発見がある店でありたい。そんなことをいつも考えています。そんな感じで、店づくりの裏側を10回にわたってお話してきた連載も、次回でいよいよ最終回! 最後は、海外の「ニコアンドの作り方」です。みなさま、どうぞお楽しみに!