〈niko and ...〉が、どのようにお店を作っているかをお話してきた「ニコアンドの作り方」。最終回は海外での〈niko and ...〉の作り方です。現在アジア圏内では、香港8店舗、韓国7店舗、台湾3店舗にお店を構えています。
国や文化が違う中で、日本と同じ商品を展開しお店を通してブランドの価値観を伝えていくということは大変難しいことです。海外に出店するにあたり新しくチャレンジしていくこと、やめていくことを整理していく中で、11年前にブランドができた当時と変わらずこだわり続けたこと。これを最終回のお話にします。

2012年10月 初の海外出店をした香港。ブランドの強みである雑貨の見え方を大切にしながら、お店作りをしてきました。ベースに考えることは立ち上げ当初の考え方と同じくブランドの原点と本質、人やものを大切にする気持ち、いちいち○○する気持ち。その時ある商品でいちばんかっこいいと思えるお店を作ることです。(vol.1「お店を作るとき、大切にしていること」参照)

大切にしてきた売場作りの手順。
~香港~

香港旺角Grand Century Place店

決まった商品MD計画がある中で、さらにワクワクしたお店作りをする為に大切にしてきたお店作りの五つの手順。

1.「物量感を把握する。」
テーマがあって、商品のラインナップがあって、物量感、サイズ感、素材感、色を把握し、商品の意図を理解する。
2.「スペースに見えない線を引く。」
それぞれの展開商品をテーマに合せてどういった空間にするかを考える。イメージした場所に架空の人を歩かせてみる。イメージができたらその空間をどんな什器で展開するかを考える。それぞれの什器に見えない線を引き、陳列のイメージをする。
3.「陳列する。」
まっすぐ並べる。見やすく、分かりやすく、買いやすく。
4.「陳列に工夫を加える。」
見せたいものがお客さまの興味を引く陳列になっているか。価格に合った陳列になっているかを考える。陳列の見せ方に工夫を加える。
5.「その空間がおもしろいかを考える。」
それぞれの空間と空間の繋がり、それぞれの空間に意図やおもしろみがあるかを考える。遠くからの見え方、近くからの見え方、お客さま目線で考える。それぞれの空間がお客さまの心に刺さるワクワクする空間になるようにいちいち○○する。

海外に出ても本質は変えず、お店を作る。それが初めての海外進出、香港での始まりでした。香港での出店も順調に滑り出し、2年後には韓国に店舗を広げます。

ショーウインドウの中で伝えたかったこと。
~韓国~

たくさんのフェイクグリーンと〈niko and ...〉のオリジナルブランド〈CITY CREEK〉のハンモックやキャンプギアを使ったアウトドアをテーマに演出したウインドウ。

D.I.Y.をテーマにした〈OLD SMITH〉を使ったウインドウでは、店内のアンティーク什器を編集し、古めかしい作業場を演出しながら古いものと新しいものの組み合わせで〈niko and ...〉らしさを演出しました。

2014年7月にオープンした韓国旗艦店であるカンナム路面店。2層の店内は日本や香港同様ブランドの特色を生かしたお店を作りました。外部にあるVP(ビジュアル・プレゼンテーション)スペースでは、強みの雑貨にアパレルや服飾雑貨を織り交ぜて、見ていて楽しくなるような、思わず店内に入りたくなるような、お客さまがワクワクする〈niko and ...〉らしさがギュッと詰め込まれたショーウインドウを作り、このVPスペースを通してブランドのテーマがひと目で伝わる場所として、売場とはまた違った空気感で作りました。

そして同年10月、明治通り沿いにブランド最大の旗艦店「niko and ... TOKYO」がオープン。コンセプトは雑誌のように編集し、特集と連載を持つお店。45日~60日にお店をガラっと入れ替えるというもの。現在5年目を迎え、25回のお店の入れ替えをしています。今までの〈niko and ...〉には無かった斬新な企画と日々の新鮮な売場。よりワクワクしたお店を作る為その都度、お店は企画に合わせて自分たちでD.I.Y.で作り上げることに。いつしかそれもこのお店の特色となりました。

「niko and ... TOKYO」の台湾版「niko and ... TAIPEI」。
~台湾~




2017年10月にオープンした台湾の旗艦店「niko and ... TAIPEI」のコンセプトは、「niko and ... TOKYO」の“台湾版”。香港、韓国と同じく、ブランドの強みはそのままに〈niko and ...〉の世界観を作り上げました。TAIPEI店の特色は「niko and ... TOKYO」と同じく定期的なPOP UP SHOPを企画し、お店もD.I.Y.で現地スタッフと作りその都度再編集を繰り返し鮮度あるお店作りをすることで、今までの海外出店店舗とはまた違うワクワクするお店を作っています。

写真は「niko and ... TOKYO」で、開催していた「MADE IN JAPAN」のイベントを台湾で展開した時のもの。組み立て式の大きなダンボールハウスを作り、その中に配置する木製のシェルフはもちろんスタッフでD.I.Y.します。商品を見やすく、分かりやすく、陳列し、全体のバランスを整えて完成です。「niko and ... TOKYO」でもおなじみの「niko and ... TAIPEI」という「箱」のなかの「ハコ」。日本でやったさまざまな手法を国を超えて台湾でも日々チャレンジすることで、また新しい〈niko and ...〉が作り上げられているのです。

最後に“海外に出ても変わらずに、こだわり続けたこと”海外での〈niko and ...〉の作り方は、香港、韓国、台湾と舞台が変わってもこだわり続けている世界観は変わりません。
いまの時代、何でもすぐに手に入る便利な世の中で、手に入れられない情報がないほどに情報も溢れ、AI技術も日々進化し、私たちのライフスタイルも目まぐるしく変化していっています。新しいことにチャレンジをしていかないと、どんどん取り残されるのではないかと思うくらいスピードのある時代です。
しかし、お店作りで大切な“人を喜ばせるということ”や、“モノを大切にする”という気持ちは今も昔も変わりません。世の中にあるすべてのものには、必ず誰かの手が加わっていて、人への思いやり、モノを作る人に対して尊重の気持ちを持つことでいろんなことに対して、ていねいに向き合える。そのていねいな気持ちが、人を喜ばせるということに繋がるのだと思います。

デジタルだけでなくアナログなことも大切にする〈niko and ...〉らしさの本質はもしかしたらそういったところから生まれる世界観なのかもしれません。これからもブランドは進化していきますが、原点と本質を忘れずお客さまが楽しめるワクワクするお店作りをしていきたいと思います。