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連載

Lifestyle with Professionals.


vol.2

“いちいち○○する”理由。

驚きや発見に「であう」、やがて自分の暮らしに「にあう」。 そんなブランドのメッセージや世界観を表現するために 〈niko and ...〉のショップはどのように作られているのか? チーフスペシャリストVMDディレクター・魚住岳寿が語る カッコよくて、ワクワクするお店の作り方。

東京店オープン

2014年10月30日。原宿の明治通りにブランドの旗艦店である「niko and ... TOKYO」がオープンすることになりました。コンセプトは、“雑誌のように編集し、特集と連載を持つお店”。300坪を超える面積のショップは、ブランドとして初めてでしたし、お店で扱う商材の幅も一気に広がりました。

まず、東京店を作るにあたり改めて考えたのは、webにはなく実店舗にしかないものは何か? ということ。人が集まり、表情が見え、声や呼吸が聞こえて、空気感が伝わる。ここにしかない時間をたくさんの人と共有できる場所にしたいなと思いました。



東京店のオープンに向けて、魚住が描いたスケッチと実際の店内。

それは、言い換えるとコミュニティということなのかもしれません。今は、ただ洋服を買う、ただ食べる、ただ住むのではなく、多彩なコトに触れ合いながら時間を楽しみ、その経験をみんなで共有していく時代。

だから、初心に返って、最初の頃のように自分たちで手を動かしながらお店を作りたいと思いました。目指したのは、365日、いつでも感動やワクワクと出会えるお店。1号店のようにブランドの本質が詰まった店を作ろうと決意したのを、今でもよく覚えています。

ニコアンドの強み

これは東京店に限った話ではありませんが、お店を作るときは、必ず架空のストーリーを想像するんです。立地条件や客層を把握しながら、このお店はどういう役割を果たすべきか? そんなところから考えます。まず、ものを作った人のことを考え、買ってくれるお客様の気持ちを想像する。

東京店のオープンの際には、自分たちの強みである生活雑貨を一階に打ち出すことにしました。ニコアンドには、トレンドもあれば、普遍的なものも貴重なものもある。アウトドアもあれば、インドアもあるし、クールなものもキャラクターものもある。

つまり、相反する要素がたくさんある。そうした要素を掛け合わせて、化学反応を起こして、既視感のある商品でもお客様に新しい発見をしてもらいたい。ギャップやサプライズ、ユーモアを大切にするブランドの本質を感じとってもらいたい。そんな思いもあって、自分たちのいちばんの強みであり、ブランドの世界観を作りやすい生活雑貨を主役に、東京店の空間を考えていきました。


魚住が描いたオリジナル什器とオーディオコーナーの完成予想図。

東京店を作ったことで大きかったのは、ひと手間ふた手間、何か手を加えて面白みを作っていくという店づくりの原点に立ち返れたことです。いつも売り場のテーマに合わせてイメージを作り、そのスペースにどんな什器を展開するかを頭でシュミレーションしながら、物量やディスプレイを考えていくのですが、東京店では初めて什器からつくりました。



完成した店内のオーディオコーナー。高さを活かした立体感のあるディスプレイに。

それまでも、什器をカスタムしたり、アレンジしたりということはやっていたのですが、そうか、なければ作ればいい。自分たちで作ればもっとワクワクするお店になると思ったんですね。

普通に考えると、「ここまでやるの?」という手間のかけ方や空間に対するコダワリは、お店の空気感として絶対にお客さんに伝わる。その“いちいち○○する”感じが、ニコアンドらしさかなと思います。

作りのクリスマスツリー

今年も「niko and ... TOKYO」のクリスマスツリーを作りました。オープンした年は、5mの生のモミの木を使いましたが、クリスマス当日まで緑が持たないということで、翌年からスタッフがDIYで作るようになりました。

クリスマスツリーの材料と仕込みをするスタッフ。

木箱ツリー、白樺ツリーときて、3年目となる今年は板張りツリー。できるだけお金をかけずに、あるものや捨てられかけている材料を使って、アイデアと工夫をこらしながら、明治通りを歩く人たちに「今年もこの季節が来たのか」と思ってもらいたいという気持ちで作っています。

そんなクリスマスツリーですが、実はお店を訪れるお客様の声や感触を確かめながら、クリスマス本番まで少しずつマイナーチェンジさせています。作って終わりじゃなくて、ニーズに合わせて変化させていくことで、お店もお客様もツリーも喜んでくれるのではと思ったりして(笑)。どうしたらみんなをワクワクさせられるか? 手を動かしながら、閃めいたアイデアを大切にしたいんですよね。それが、自分たちの手で作る利点かなと思います。


完成した板張りのクリスマスツリー。すっかり明治通りのアイコンに。

とはいえ過度に手を加えすぎて、本番まで持たなくならないように。逆にチープになり過ぎないように。毎年、クリスマスの準備は死にかけるので、来年はシュールにモミの木の苗を1つだけおこうかな(笑)。12月25日まで、「niko and ... TOKYO」で見られますので、ぜひご来店ください。それでは、今年も皆様にとってワクワクする素敵なクリスマスになりますように。(続く)

魚住岳寿
1975年生まれ。神戸市出身。大手アパレルメーカー10年勤務後、2007年より㈱アダストリアの前身となる㈱トリニティアーツに入社。〈niko and ...〉のブランド立ち上げから営業MGR、営業統括MGRを経て、VMD統括MGRとして日本全国100店舗近くのショップの売場づくりに携わる。2014年より旗艦店「niko and ...TOKYO 」を中心に従事。現在韓国の旗艦店や台湾の旗艦店のVMDも定期的に携わっている。