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Lifestyle with Professionals.


vol.3

あかりの話

驚きや発見に「であう」、やがて自分の暮らしに「にあう」。 そんなブランドのメッセージや世界観を表現するために 〈niko and ...〉のショップはどのように作られているのか? チーフスペシャリストVMDディレクター・魚住岳寿が語るカッコよくて、ワクワクするお店の作り方。

あかりという付加価値

ショップを作る上で、あかりはとても大切です。スポットを照らせば、見せたいものが自然と主役になるし、思わず長居したくなるようなショップの雰囲気を作るのにも、あかりによる演出が欠かせません。今回は、数値化できない“心地よさ”という付加価値を空間に与えてくれる、あかりについてお話したいと思います。

2015年4月17日〜5月31日まで、開催された「♯4 PLAY MORE」の店内風景。
「NAKED Inc.」監修のプロジェクションマッピングが話題を呼んだ。

ところで、「niko and ... TOKYO」のカフェスペースの天井にコードの赤いエジソン電球が吊るしてあるのをご存知ですか? 実はこれには、秘密と理由があるんです。今から約2年半前。クリエイティブディレクターの井浦新さんの発案のもと、村松亮太郎さんが率いる「NAKED Inc.」が作る自然をテーマにしたデジタルアートを店内にプロジェクションマッピングする「PLAY MORE!」という企画があったんです。2階へと続く階段に現れる、色彩豊かな滝。床に映し出された美しい木漏れ日。人の動きに反応して床に美しく舞う光の花びらetc.……。何もかもが初めて尽くしの壮大な企画でした。

映像の世界観に合わせ、エジソン電球とロープを絡めて、インスタレーション的にディスプレイ。
自然と遊びをイメージし、立体的な演出を心がけた。

ピンチをチャンスに

僕たちもその映像の世界観に合わせて、物販コーナーに白樺の木を吊るしたり、入り口に小屋を作ったりといった具合に売り場を編集していきました。ただ、ひとつ大きな問題が持ち上がりました。それは、映像を映し出すにあたり、カフェスペースの照明を消して欲しいという要望でした。さすがに、真っ暗闇の中では、コーヒーが飲めない。クリエイターの要望には応えたいけど、これではお客様に寛いでもらうことができなくなる。一体、どうしたものか? と考えた末に思いついたのが、白熱灯のいわゆるエジソン電球に照明を変えるというアイデアだったんです。

照明を外さなければいけないという状況から、照明をエジソン電球に変えることになったわけですが、普通に吊るだけだと全然面白くない。そこで、空間の味付けとしてロープを使って、インスタレーション的に見せる方法を思いつきました。ロープは、たまたま店の倉庫にあったものです(笑)。ハサミで切ると、ほどけてしまうので扱いづらいロープだなと思っていたんですけど、そのグニャグニャとほどけていく様子もなんかいいなとも思っていて、一本一本ロープを途中までほぐして雰囲気や立体感が出るように、ひと手間かけて照明とのバランスを見ながら吊るしてみました。きっと頭の中に、森のイメージがあったのかもしれません。

点と点をつなぐ

そして、次はカフェのロングテーブル。マガジンスタンドを外し、こちらにもロープとエジソン電球の装飾を施しました。こちらは、あえて電球のサイズ感をバラバラにして、天井の照明と同様にリズム感を出すようにしました。結果、装飾の意匠を共通させることで、点と点をつなぎ空間に広がりを持たせることができました。もともとは、演出のために照明を外して欲しいという要望から思いついた苦肉の策ではあったのですが、ただ外すのではなく、どうせなら何かできないか? と考えたからこそ、こうしたアイデアが生まれたんだと思います。怪我の巧名とは、まさにこのこと。今となっては、「niko and ... TOKYO」の空間にすっかり馴染んだエジソン電球。お店にいらした際には、この話を思い出しながら、ぜひ眺めてみてくださいね(笑)


現在の「niko and ... TOKYO」にも残るエジソン電球。すっかりカフェスペースのアイコン的な存在に。