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連載

Lifestyle with Professionals.


vol.8

「面の見え方を工夫する」。後編

驚きや発見に「であう」、やがて自分の暮らしに「にあう」。 そんなブランドのメッセージや世界観を表現するために 〈niko and ...〉のショップはどのように作られているのか? チーフスペシャリストVMDディレクター・魚住岳寿が語るカッコよくて、ワクワクするお店の作り方。

高さ5m、横4m。巨大な壁をキャンパスに。

「niko and ... TOKYO」は、ショップ立ち上げ当初からD.I.Y.マインドを大切にしてきました。そして、その時にある商品を活かして、僕たちがいちばんカッコいいと思える売り場を作る。そんなポリシーを持ってお店作りを行ってきました。なかでも特に力を入れているのが、1階入口にあるエディトリアルコーナー。

この場所はお店の顔であり、お客さまの第一印象を決める大切な場所。その見せ場である壁面のサイズは、高さ5m、横幅4m。テーマに合わせてフレキシブルに変えられる壁の作りを活かせるよう、日々試行錯誤しながらさまざまなことに挑戦してきました。というわけで、今回も前編に続いて「面」のお話。どのように1階の「面の見え方」を工夫してきたかをお話したいと思います。

キャンドルがテーマの売場は元々の内装を活かして。

音楽カルチャーをテーマに自分たちで壁を張り替えた。

D.I.Y.で壁を白色に塗り、映像を流したヘルスケア商品コーナー。

パッチワークデニムを壁一面にした、デニムがテーマの「面」。

雑誌のように編集し、特集と連載を持つショップである「niko and ... TOKYO」は、さまざまなテーマに基づいて売り場の編集を行っています。特集ごとにあらゆる切り口のアイテムがショップに届くわけですが、売り場作りのこだわりとして、既成のテーブル什器に商品をただ並べるといったことは極力しないようにしています。常にその時のテーマ商品を主役にしてゼロから売場をイメージし、毎回違った売り場を作っています。以前もお話した通り、商品には必ず生まれた理由や商品を作った人の思いがあり、そしてストーリーがあります。そのことをお客さまに伝えるには、空間全体で表現しないとやはり伝わりません。高さを活かして迫力のある見せ方を考えたり、壁の色を変えてイメージチェンジしたり、D.I.Y.に使用する素材を変えて質感の違いを演出したり、お客さまを飽きさせないようにひと手間もふた手間もかけることが大切。そして、何より〈niko and ...〉の世界観と空気感を大切に、お客さまの「want to」を感じながら、ひとつひとつ丁寧に売り場を仕上げるように心がけています。

元々内装されていた水色の壁に板を張り付け、違った雰囲気に。

有孔ボードを張り付け、商品の買い場を作成。

色を塗り替えた壁の変化は一目瞭然。

時には白樺の木を吊るし、立体感のある雰囲気に。

なかでも第一印象は、とても大事です。売り場を作る時にいつも思うのは、頑張ってディスプレイをしている割に、意外と気がつかないお客さまも多いということ(笑)。だからやるからには徹底的にやりきる! 買い物にきた人、なんとなくお店にフラッと入った人、待ち合わせできた人etc.…。急いで雑に仕上げたり、迷いながら作った中途半端な空間では、そんな人たちの足を止めることはできません。

まず大事なのは、パッと見てわかる売り場の変化や面白さと、立ち止まってもらった時に、伝えたいメッセージが売り場から伝わるかということ。加えて、お客さまの想像を掻き立てるようなディスプレイや商品ポップなどにもこだわって、商品の作り手と自分たちの思いが少しでも伝わるように、楽しみながらやりきることが大切だと思っています。

壁一面の色を変えて、チーク塗装にチェンジ。 

大きな櫓を立てて売場に迫力を加える。

ディスプレイ用に木箱をランダムに取り付ける。

商品を並べて前回とは全く違う見え方にしていく。

フェイクグリーンを扱った時は、事前にイメージしたラフスケッチを元に、壁面をすべてチーク塗装で塗り替え、ディスプレイ用にさまざまなサイズの木箱を取り付けて立体的な壁に仕上げました。遠くから見た時の迫力と、近くで見るとディスプレイの参考になるような作りを意識しました。そして、壁の前には素材感を合わせたテーブル什器を置き、そこにディスプレイに使った商品を分かりやすく陳列。壁の対面に、大きな櫓(やぐら)を建てることで、迫力のある広がりと空間としての面白みを演出しました。

フェイクグリーンをテーマとした商品を展開するために売場のイメージを描いたラフスケッチ。

ラフスケッチを元に完成した売場。

僕がいつも大切にしているのは、「大胆に変わったと伝わること」と「繊細にディスプレイや陳列をすること」。上の写真で言うと、壁、櫓、テーブルといった空間を構成する要素には、それぞれの役割があり意味があります。点と点は繋がると線になり、線と線が繋がって、初めて空間に奥行きと立体感が生まれるんです。

今も変わらずD.I.Y.で作り上げている売場。これは〈niko and ...〉の機能性ブランド〈NUMERALS〉のPOPUPブース。

人の第一印象と同じように、売り場もやはり「面(顔)」が大切です。特集テーマの意図を汲み取って、適切なサイズで空間を仕切り、ショップという箱の中にハコを作る。また、テーブルや壁面の見え方を工夫して、そこに対するあかりの効果を意識し、それぞれの箇所でいちいち○○する。そんな風にして変化と鮮度と面白みを作り出していけるのは、実店舗だからできること。そんなことを考えながら、僕たちはショップの顔(面)を今日も変えています。どうしたら、お客さまにワクワクした驚きや発見を与えられる店を作れるのか? 焼き回しにならない新しいアイデアを日々考え、探し続けています。