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連載

Lifestyle with Professionals.


vol.13

人生はまるで巡礼の旅のようなものーー。
ミュージシャン・caravanさんと旅する愛すべきモノたち。

“旅の持ち物”でその人の旅のストーリーが分かるのが旅アイテムのおもしろいところ。今回は、国内外を旅しながら音楽活動を続けているcaravanさんに、〈niko and ...〉の数あるアイテムのなかから、私物と一緒に旅先へ持っていきたいものを選んでもらいました。

  • Photo_Hiroyo Kai
  • Text_Kana Yokota 
  • Illust_Kahoko Sodeyama

ミュージシャン
Caravan
1974年生まれ。幼少時代を南米ベネズエラの首都カラカスで育ち、その後転々と放浪生活。高校時代にバンドを結成し、ギタリストとして活動。2001年よりソロに転身。一台のバスで北海道から種子島までを回る全国ツアーや、数々の野外フェスに参加するなど、独自のスタンスで場所や形態に囚われない自由でインディペンデントな活動が話題を呼んでいる。めぐろパーシモンホールで10月6日(土)にライブ予定。
caravan-music.com

自分の世界観や美学を感じられるアイテムをあえて携える。

“砂漠で隊を組んで行く商人の一団”。そんな意味を持つアーティスト名を掲げ、国内外を旅しながらライブ活動をしているcaravanさん。最近購入した古いランドクルーザーでプライベートでもさまざまな場所へ旅をしているといいます。「旅のアイテムは基本的にはシンプルで最低限にと心がけていますが、機能性ばかり意識すると味気なくなってしまうので、カメラやノートなど、iPhoneではなく自分の世界観が出るような愛着のあるものをあえて旅先でも使うようにしています。そういったこだわりが自分の中での美学になっているような気がするんです」

「いちばん旅に持って行っているのが〈KELTY(ケルティ)〉のリュックです。そんなに大きいわけじゃないのですが、小分けに収納できるスペースがたくさんあるので使いやすい。ハットは福岡の友達が作っている〈household word(ハウスホールド ワード)〉というブランドのものなんですけど、独特のやれ感がかっこいいんです。紅茶やコーヒーで染めていたり、わざとくたっとさせていたり、こだわりがおもしろい。かぶりものは好きでたくさん持っているのですが、ライブでかぶるとすぐにダメになっちゃうので、定期的に新しいものを手に入れてローテーションさせています。帽子は服の3倍くらい持っていますね(笑)」

「写真は好きでよく撮っているんですけど、旅先だと一眼レフよりポラロイドカメラの方が活躍してくれますね。仲良くなった人たちと撮った写真をそのままあげると喜んでくれるし、コミュニケーションのためのアイテムです。デジカメでは主に風景を撮っているかな。撮影した写真を自分のCDジャケットに使うこともありますよ。カメラを入れているバッグは〈GREGORY(グレゴリー)〉なんですけど、友人のイラストレーターの花井祐介君がコラボした時のものなんです。かわいいでしょ。ロゴも花井くんの手描きなんですよ」

「旅先で街の雑踏とか音を取ることが多いので、レコーダーは必ず持っていきます。インディーズの頃から風や波の音をずっと録っていて、そういった音を曲の中に取り入れることもあるんです。あとで聴いてみると、その時は耳に入ってこなかった鐘の音や、鳥や虫の声なんかが聴こえてきて、その瞬間にちょっとトリップできて心地よいんです。ノートはロンドンで買ったのですが、革の肌触りがよくて気に入っています。後から読むと自分でもよくわからないことが書いてあるので恥ずかしいんですけど、その時に思いついた言葉や気になったことを書き留めていますね」

「旅先であると意外とあると便利なのがマグカップ。手前味噌ですが、caravanオリジナルです。実はイラストも僕が書いています。カリフォルニアの〈NOTHERN PINE Brewery(ノーザン パイン ブルワリー)〉がオリジナルで作っている水筒はビールを入れることができるんですよ。旅先で立ち寄ったブルワリーのクラフトビールや缶ビールをこれに入れて飲み歩いています。閉めると真空になるので一日くらいは炭酸も抜けずにおいしく飲めます。ビール好きにはたまらないアイテムですね」

「旅先ではよく本を読みます。子供の頃からキリスト教三大聖地のひとつに数えられている、聖地・サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼に憧れていたのも、本の影響でした。なぜか読んでいる本の中に、エル・カミーノやサンティアゴの話が出てきていたんですよね。短編集や詩集はちょっとした移動の間に読めるので好きです。詩を考える時も、ストーリーのあるものより、説明しすぎない、あいまいな言葉を使うようにしているんです。谷川俊太郎さんの本のように、いかようにでもとれるけど、どっちにしても大事なことだよねって思えるような、そんな言葉を歌に乗せたい。イマジネーションの余地を残すような言葉選びをしたいなと思っています」

「〈MERRELL(メレル)〉の靴はもう10年くらい履いています。表面はやれているんですけど、とても丈夫で、だいたいこの靴で旅していますね。いろんな国の泥がついています。重いので、これだけじゃなくて、ソールのついたバブーシュみたいなものをもう一足持っていきますね。海辺に行く時はビーチサンダルも欠かせません。消臭機能付きのポーチは汚れた靴を入れるのに便利です」

シューズケース ¥2,600+TAX(niko and ... TOKYO限定)
ビーチサンダル ¥1,400+TAX

「旅先で汗をかいた後の服や水着なんかを入れておく袋やポーチはいくつあっても便利ですよね。何ヶ月も帰らずに旅に出ることも多いので、洗濯石鹸は必須。一週間分くらいの服や下着を洗濯しながら着回しています。できるだけ環境に優しいものがいいですね。デニムの小さいポーチは奥さんが作ってくれたものです。CaravanのCのロゴを入れてくれて。特に何を入れるというわけでもないんですけど、お守り代わりに持っていきます」

ポーチ ¥3,150+TAX(niko and ... TOKYO限定)
石鹸 ¥1,500+TAX(niko and ... TOKYO限定)
ビニールポーチ ¥2,500+TAX(niko and ... TOKYO限定)

子どもの頃に夢見た聖地巡礼の道を歩きながら。

スペイン北部のバスクはcaravanさんにとって忘れられない思い出の地。聖地巡礼の道として知られるサンティアゴ・デ・コンポステーラは子どもの頃からずっと歩いてみたかった場所だったそう。この旅は東日本大震災が起きた2011年の3月11日と重なったこともあり、大きく心を動かされた旅となったようです。旅をしながら詩を書き、音楽を奏でる。この旅でcaravanさんが感じたことをお伺いしました。

at サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路

「2011年に雑誌『PAPER SKY』の取材で編集長のルーカスと一緒に旅をしたんです。旅の後半はプライベートで子どもの頃からずっと歩いてみたかったサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの巡礼路へ。この日がちょうど、東日本大震災が起きた3月11日。途中で帰国したのですが、遠く離れた場所でこの知らせを聞いてとても胸が痛みました」

at バスクの街並み

「バスクはスペインでもフランスでもない、独自の文化を持った自治区なんです。バスク人は自分たちの暮らしに誇りを持っていて、地元を愛している。彼らと話していると本当の豊かさとは何かを考えさせられます。文明が進化してどんどん便利な世の中になっていくけど、本当の幸せはシンプルな日々の暮らしの中にあるんじゃないかと思うんです」

at 故郷に似たバスクの風景

「バスク地方の街並みはとてもカラフルなんです。僕は南米で育ったのですが、ベネズエラの首都カラカスとなんとなく雰囲気が似ているんです。遠く離れているけれど、同じスペイン語圏なんですよね。街にはワインバルがたくさんあって、夜な夜な何軒もバルをはしごして飲み歩いている人たちがたくさんいます」

at 巡礼路道中の大聖堂

「サンティアゴまでの道中は大聖堂や小さな海の家のような宿泊所がたくさんあるんです。ここで寝泊まりする巡礼者もいて、観光地のような賑やかさがありました。ハイキング気分で楽しんでいる人もいれば、『この巡礼路を歩けば罪が晴れるんじゃないか』というくらい重荷を背負って歩いている人もいる。この時は志半ばで帰国したので、次は最後まで歩きたいですね」

at アートウォール

「巡礼路を歩いている時に、巡礼者や観光客をただ眺めている女の子がいました。バスクにはビルバオにあるグッゲンハイム美術館やピカソが描いたゲルニカの街があることもあって、アーティストも多く訪れるそうです。そのためか、こういったアートウォールも街にたくさんありました」

at 巡礼路の砂漠地帯

「巡礼路には、こういった砂漠のような場所もありました。いろんな人がさまざまな思いを持ってここを歩いている。震災と重なったこともあって、帰国後、なんでもない日々を大事に生きることの大切さを感じました。人生はまるで巡礼の旅のようだとも。この旅での経験が元になってできた曲が『サンティアゴの道』なんです」