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連載

Lifestyle with Professionals.


vol.16

「旅は日常の延長であり、遊びです」
料理研究家・山戸ユカさんのお気に入りアイテム。

“旅の持ち物”でその人の旅のストーリーが分かるのが旅アイテムのおもしろいところ。今回は、自然あふれる八ヶ岳でレストランを経営し、オフの日も各地を旅して山登りを楽しむ山戸ユカさんに、〈niko and ...〉の数あるアイテムのなかから、私物と一緒に旅先へ持っていきたいものを選んでもらいました。

  • Photo_Hiroyo Kai
  • Text_Kana Yokota
  • Illust_Kahoko Sodeyama

料理研究家
山戸ユカ
料理研究家。2013年に山梨県北杜市の八ヶ岳南麓に移住し、季節の野菜を使ったレストランを開業。自然をモチーフにした編集ユニット『noyama』、山好きの女性たちからなる『ホシガラス山岳会』としても活動。今期より今までにない本格トレイルフード、「The small twist trail food」をスタートさせた。
dilleatlife.com
insta-stalker.com

山でも街でも活躍してくれる、ウルトラライトなアイテムたち。

八ヶ岳の広大な自然のなかで生活をしている山戸さんのオフの日はほとんど山登り。旅に出かけるのは年に4〜5回だと言います。旅に出ると夏山ならクライミング、冬山はスキーを楽しみ、温泉に浸かって現地のスーパーをめぐるのがお決まりコース。「観光地を巡ることはほとんどないですね。旅先でのハイキングは八ヶ岳とはまた違った草花を見ることができておもしろいんです。私にとって旅は非日常ではなくて、日常の延長。日常的に遊ぶことばかり考えているから。衣食住すべてを背負って山のなかでテント泊をするのが大好きなので、持って行くアイテムにはこだわります。アウトドアギアって実は山も街もどちらでも使えるアイテムがたくさんある。最近はウルトラライトという軽い装備でアウトドアを楽しむ傾向にあるので、それを意識したアイテムをご紹介します」

「ザックは〈GOLITE(ゴーライト)〉の「JAM」を使っています。”ウルトラライト”の先駆け的なブランドだったのですが、今はブランド自体がなくなってしまったんです。軽量で機能的なので、このなかにいろいろ詰め込んで旅に出ます。もうひとつ、お気に入りとして紹介したいのが〈SEA TO SUMMIT(シートゥミット)〉のアタックザック。一度に複数のバッグやポーチを持っていくタイプではないので、これひとつの時も。防水なので中身を全部出して温泉に行って、濡れたタオルをそのまま放り込めますし、ちょっとそこまで散策しようという時にも活躍してくれます。サコッシュは〈Trail Bum(トレイルバム)〉というお店のオリジナルです。巾着タイプでジップがないので片手でハンカチや行動食が取り出せて便利です。テント場や町歩き用に〈Teva(テバ)〉のサンダルも持っていきます」

「山にも街にも必ず持っていくのが〈patagonia(パタゴニア)〉の定番フーディニ・ジャケットです。生地が薄くてたたむとゲンコツくらいの小ささになります。暴風、防水、耐久性に優れているので、ふだんでも持ち歩いていますね。Tシャツはニュージーランドの〈Icebreaker(アイスブレイカー)〉というアウトドアウェアを愛用しています。メリノウール素材のTシャツは何枚も持っていますが、これは柿の葉や藍染で色も綺麗なので気に入っています。ウールって汗をかいて濡れても保温力が落ちないので、山にすごく適していているんです。消臭効果も高くて、一週間着ても臭くならないくらい(笑)。洗濯できない環境でも活躍してくれますし、アウトドアのウェアっぽくないのでタウン着としてもおすすめです」

「山登りを楽しむ方のなかには、山頂での食事はカップラーメンやコンビニのおにぎりといった方が少なくないと思うんです。でも、山頂ですばらしい景色を眺めながらおいしいご飯が食べられたらもっと幸せな気持ちになれる。たくさんの人にその感動を味わってほしくて、この夏、ついにトレイルフード『The Small Twist』を販売開始したんです。クスクス入りスパイシーチキンカレー、ミートソースパスタ、ショートパスタ入りミネストローネスープの3種なのですが、熱湯で戻すだけで簡単に食べられます。いまは店頭販売のみですが、今後は通販販売も予定しています。トレイルバターはポートランド製。オールナチュラル・グルテンフリーだし、味も抜群。お気に入りのカトラリーも気分を上げるための必需品ですね。〈patagonia〉の「プロビジョンズ」のカトラリーセットは飛騨のブナ材を使用したもの。〈niko and ...〉オリジナルの「CITY CREEKのプレートも色違いで揃えたくなりますね」

「軽くて便利なアルミのクッカーは〈EPIgas(イーピーアイガス)〉のものです。アウトドアをはじめたときに購入した長年愛用しているアイテム。ナイフはフランス製の〈OPINEL(オピネル)〉のもの。切れ味が鋭くて持ちやすいんです。山登りをはじめた時に夫がプレゼントしてくれました。かっこいいナイフもたくさん持っているのですが、これはメンテナンスがしやすくて気軽に使えるから山にはこれ1本で十分です。山の上でワインを楽しみたい時には割れないプラスチック製のグラスを持っていくこともあります。これは〈DEAN & DELUCA(ディーンアンドデルーカ)〉のプラスチックカップですが、この形状だと香りも楽しめるのでおすすめですよ」

「スキンケアや消臭系アイテムはいくつか持っていくようにしています。〈WELEDA(ヴェレダ)のスキンフードは乾燥した肌に吸い付くように馴染んでくれるので助かっています。〈ORALPEACE(オーラルピース)〉は自然のなかで歯磨き粉が使えない時に活躍。わたしの家の前や、八ヶ岳などはシラビソの木が自生している場所が多いので、台風などで折れた枝を見つけた時は拾ってテントに持ち込みます。そうするとすごく甘い香りがテントのなかに漂うんです。ただ、国立公園などではたとえ枯葉でも持ち帰ることを禁じている場所も多いので、帰る時にはそっと元の場所に戻すようにしています」

初心者にもおすすめのハイキングルートを超えて極上の温泉街へ。

今年の夏に福岡県の九重連山と大分県の鉄輪温泉を旅した山戸さん。九重連山では法華院温泉山荘で開催されたハイカーのためのイベントに参加し、テント泊を楽しみました。山を越えて大分へ抜け目指したのは鉄輪温泉。名物である地獄蒸しをメインに、現地の食材とワインで温泉街での至福の時間を過ごされたとのこと。「私の旅は、山と温泉はだいたいセットです。九重連山も鉄輪温泉もはじめてだったのですが、ハイキングも温泉も楽しめるすばらしいルートでおすすめです!」

at 九重連山ハイキングルート

「九重連山は福岡県と大分県にまたがる山なのですが、法華院温泉山荘までは登山口からゆっくり歩いても2時間程度で、景色も絶景ですし、初心者にもおすすめのハイキングルートでした。道中はこんな感じで散歩気分で景色を楽しみながら歩けます。今回は夫とnoyamaメンバーの工芸家のしみずまゆこと友だちと4人旅。実は猛暑で日中歩けないほどだったので、夕方に出発しました」

at 法華院温泉山荘

「法華院温泉山荘は1882年からある歴史の長い山荘で、源泉掛け流し温泉もあり登山家に親しまれている場所。法華院温泉山荘で行われた『ハッピーハイカーズ法華院ギャザリング』のイベントでは、トークショーに出演したりトレイルフードを販売したり。ハイキングが好きな方々が集まり、とても有意義な時間でした。」

at 坊ガツルキャンプ場

「九重連山をはじめ山々に囲まれている絶景が楽しめるひらけた場所に到着。阿蘇くじゅう国立公園内にある、この坊ガツルキャンプ場は予約不要で無料で利用できるんです! 湿地帯の生息物を守る国際条例「ラムサール条約」に登録されている自然保護地区で唯一キャンプができるこの場所で2泊しました。」

at 鉄輪温泉街

「日本一の湧出量の大分県の別府温泉。なかでもあちらこちらで湯けむりが沸き立っているのが、別府八湯のうちのひとつである鉄輪温泉です。古い町並みですが、情緒があって温泉を巡りながらの散歩が楽しかったです。温泉に入るととても保温力が高くて、古くから湯治の場所として親しまれていたことに納得です」

at 地獄蒸し釜

「鉄輪温泉名物の地獄蒸し。100度近い湯気があちらこちらに沸き立っているので、調理をするための蒸し釜が宿にも町中にもたくさんあるんです。釜の上に食材を入れたざるを置いて蒸します。観光用の蒸し釜のほかに、地元の方用の蒸し釜もあったので、きっと地元の方も蒸し料理を楽しんでいるんでしょうね」

at 宿の調理場

「地獄蒸しにテンションが上がり、スーパーに行ってたくさんの食材を買い込みました。地獄蒸しセットとして売ってはいるのですが、オクラなどの地元野菜やたまご、鶏肉などいろいろ蒸しはじめたら止まらなくて(笑)。旅先ではいつもそうなのですが、現地ならではの食材で新たなレシピを考えるのが好きなんです」

at 地獄蒸し釜

「夫が愛媛県生まれなのですが、愛媛の豊後水道は鯛めしが有名なこともあって、鯛が大好きなんです。対岸の大分県のスーパーにもやはり新鮮な鯛が売られていました。なんと一匹350円! 宿に常備されている羽釜で昆布とお酒と塩だけで炊きました。地獄蒸しに放り込むこと1時間。もちもちの鯛めしが完成しました」

at 宿の調理場

「蒸し牡蠣も楽しみました。調理のためのお酒は白ワインで代用。ワインを飲みながらワイワイとたくさん料理して至福の時間でしたね。外食はほぼしなかったです。最近ナチュラルワインがすごく気に入っていてお店でも出しているのですが、飲むときのグラスも大切なんですよね。味が変わります」