
美術作家
岡 美里
女子美術大学絵画科卒業、多摩美術大学版画研究室終了。横顔の写真を撮影し、後日絵にして渡す。そんな横顔ポートレートをライフワークとし、これまで描いた横顔は約1700人。2016年春に子どもとのワークショップをテーマとした、アトリエ「ネアンデール」(千葉)をオープン。著作に『せかいのこっきずかん』『パパ歌って!』『ママ歌って!』(ともに小学館)など。http://misatooka-works.tumblr.com/
愛着のあるアイテムを少しだけ、が旅先での心地よさの秘訣。
二児の母でありながら作品展示で全国各地を飛び回り、活動をしている美術作家の岡 美里さん。「仕事で全国各地を回っているのですが、そこにプライベートな時間もプラスしているので、“仕事=旅”なんです。展示で使用する機材が重いので、服や小物は最小限。でも一点一点が愛着のあるアイテムなので、旅先でも心地よいんです」

「ふだんから服はモノクロが多いです。私の作品がカラフルなので引き立て作戦(笑)。ロングワンピースは〈dosa(ドーサ)〉、サンダルは〈trippen(トリッペン)〉です。旅先ではスニーカーとキレイめの靴を2足。キレイめの靴はホテルのバーに行くときなどに活躍してくれるので必ず持っていきますね。アクセサリーは好きなのですが、旅先ではなくしやすいので、大きくてインパクトのあるものを1個だけ付けるようにしています。リングは〈MONICA CASTIGLIONI(モニカ・カスティリオーニ)〉、ブレスレットはスタイリストの岡本敬子さんがデザインされたものです。パナマ帽はワンシーズンで被り倒してしまうので、直接エクアドルから取り寄せています」

「靴は歩きやすいスニーカーが旅のお供。展示の作業で脚立を上り下りすることが多いので、脱ぎやすくかかとが踏めるソフトなものを選んでいます。本来かかとは踏むものじゃないので子どもたちには真似してほしくないんですけどね(笑)。さっと羽織れるジャケットは、アメリカのボーイスカウトシャツです。ワッペンが可愛くて、古着屋などで見つけたら集めているんです。カーキやベージュも持っています」

「旅先では何かと荷物が増えるので小分けにできるポーチやトートバッグは必需品。〈LAUNDROMAT&TUB(ランドロマット&タブ)〉のボディタオルは泡立ちがよくてお気に入りです。スキンケアは〈L’ORACLE(オラクル)〉。中性的というか、朝昼夜どの時間帯につけても肌になじむオールマイティな感じが気に入っています。〈MAD et LEN(マドエレン)〉のフレグランス〈spirituelle(スピリチュエール)〉はバジルとサイプレス、ミントの香り。仕事の時は緊張状態にあるのでリラックスできる香りを連れていきます」

クリップボードA4 ¥750+TAX
「個展の時に欠かせないのが工具。作品を壁に取り付けたり、梱包したり…。作業が多いんですよ。釘を打っちゃいけない展示場所には、強度のあるフックが大活躍。3Mのコマンドフックは穴を開けることなく、壁に重い作品を展示することができるんです。梱包用のテープもできるだけカラフルなものを。色鮮やかだと気分があがるんですよね。クリップボードはオーダーをいただく時のために。名刺ケースは〈Alice Park(アリスパーク)〉のもの。なめらかな質感のヤギ皮なので肌触りが最高なんです」

「移動時間が長いと、本を持参したり現地で調達します。とくに光文社の古典新訳シリーズが好きで、旅先の本屋で出会ったら必ず買い足すようにしています。学生時代ってサマーセット・モームとかシェイクスピアを読むように言われていましたけど、結局つまらなく感じてしまって読まなかったんですよね。でもこのシリーズは現代の“息をしている言葉”で書かれているから「こんなに面白かったんだ!」というくらい気づきがあるんです。ダーウィン「種の起源」さえスルスル読めました。」

Kalitaマグカップ ¥900+TAX
「旅先で会う人や訪ねる人に、何か気の利いたお土産を渡したいから、会う人が決まったらいろんなお店をのぞいて買っておくようにしているんです。この鯖江のくつべらのようにデザイン性があって品のあるアイテムはどんな人にも喜ばれると思います。〈Kalita(カリタ)〉のマグカップは一目惚れ! やっぱりコーヒーのフィルターは〈Kalita(カリタ)〉ですよね。〈NuRIE(ヌーリエ)〉の塗り絵は個展に来てくださるお子さんが遊んでくれそうだなと」
建築とコーヒーをめぐる港町・神戸散歩
全国各地で横顔ポートレートのプロジェクトを行なっている岡さん。2017年の11月には個展を港町・神戸で開催。建築めぐりが趣味の岡さんにとって、名建築家が点在する神戸は、散歩をするのに最高の街だといいます。また、大好きなコーヒーを求めて、味のある喫茶店めぐりも欠かしません。歩きやすいスニーカーを履いて、お気に入りのお店をたくさん見つけました。

at モトコー
「通称『モトコー』と呼ばれる、神戸の中心街の高架下には、昔から飲食店や古着屋などがひしめき合っていて、歩いているだけでも楽しめるエリアです。何屋さんか分からないディープなお店なんかも。神戸は坂道が多くて、スニーカーじゃないとクタクタになってしまうので、到着したらまず靴屋さんへ」

at ヴォーリズ六甲山荘
「日本で多くの西洋建築を手がけた建築家・ウィリアム・メレル・ヴォリーズが六甲山に建てた個人の別荘です。期間限定で一般公開されていると聞いて訪れたのですが、とてもキレイな状態で保存されていました。椅子や調度品一つとってもため息の出る美しさです。バス停から歩いた山道も爽快。」

at 喫茶ぱるふぁん
「長田区にある1976年にオープンした純喫茶なのですが、ここは入り口も内装も照明も、すべてが丸く作られているんです。阪神淡路大震災で被害の大きかった場所なのですが、丸い建築のおかげで被害が少なかったとか。静かな空間で居心地の良い喫茶店でしたよ」

at 喫茶思いつき
「中央市場の近くにあって、かなりマニアックな場所なのですが、若草物語みたいに仲がいい四人姉妹のおばあさんが営んでいて、全国からファンが訪れるという喫茶店です。楽しくお話していると、私を撮影した写真をその場で出力し、プレゼントしてくれたんですよね」

at 甲南女子大学
「神戸山手のお嬢様学校なのですが、なんと昭和を代表する建築家の村野藤吾さんが手がけているんです。飾り窓など細部にこだわっていて美しい大学でした。高台にあるので、ここから神戸の海も一望できて最高の場所。学生じゃないのにこの赤い送迎バスに乗せてくださいました」

at 山の上のホテル
「神戸を訪れたら、ほとんどの人は街の中心部に宿泊すると思うのですが、思い切って山の上のホテルに宿泊してみるのもおすすめです。意外とアクセスもいいんですよ。今回は六甲山ホテルにステイしたのですが、山からこの夜景をゆっくり堪能できるなんてとっても贅沢」

at 六珈
「ここは阪急六甲駅近くにある人気の喫茶店『六珈(ろっこ)』。カリッふわ〜なトーストと絶妙な茹で卵、美味しいコーヒーで幸せな時間。“神戸のいい店”って横にも繋がっていて、店主の方が教えてくださったオススメのお店に行くと、『聞いてますよ〜』ともてなしてくれる。そういうのって心地よいですよね」

at TASTE & TOUCH DECO
「今回の個展は、神戸の『TASTE & TOUCH DECO』さんで。神戸港から近く、潮の香りや汽笛が届く海岸通りにあって、ギャラリー探しの時に『ここだ!』ってひと目惚れしました。お子さんを連れたファミリーなど、たくさんの方に来ていただいて楽しかったな〜」