ニコの社会科見学

ニコアンドスタッフが

Letterpress Lettersへ潜入取材!

おとなも、こどもも、楽しい活版印刷。

仕事や学校の授業でも紙での資料が
めっきり少なくなってきた今の時代。

印刷って聞いてピンとこない方も
たくさんいらっしゃると思います。
でも、スマホやPCの画面では伝わらない
印刷物の魅力ってたくさんあるんです。

それは匂いだったり、
手に取った時の質感だったり、
温もりだったり。

今回はそんな印刷物にフィーチャー。
印刷のなかでも特に歴史のある
「活版印刷」に特化したデザインスタジオ
「Letterpress Letters」さんにお邪魔して
印刷のいろはをニコアンドスタッフが
取材&体験してきました。

TOKYO店ではワークショップを
行う予定ですので、
おとなもこどももお兄さんもお姉さんも
ぜひぜひ体験してみてください。

今回「Letterpress Letters」へ見学&体験に訪れたのは、「niko and ... TOKYO 」で働く松村、大橋 と、niko and ... プレスアシスタントの和田。どのメンバーも活版印刷に触れるのは初めて。まずは、スタジオで働く長池さんに、活版印刷についてガイダンスをしていただきました。

左から、和田、松村、大橋。初めて触れる活版印刷に対して興味津々。

ABOUT 活版印刷?

まずは活版印刷について説明をしてもらう。
Letterpress Letters スタッフ長池さん。

活版印刷は、遡ること1445年に誕生した600年以上の歴史がある印刷手法。技術が発展したときに誕生したそう。


長池さん:⾦属や⽊を彫って出来た文字の版を、必要な文章に応じて並べていき、紙に刷っていきます。圧をかけて生じる表面の凹凸が特徴で、新聞や書籍などの裏⾯に影響がでないことが評価されていました。
それまでは位の高い人しか、そもそも文字を習得していなくて、文字を読むこと自体が出来なかったのですが、この技法が広がり発展していくことが、識字率も上がっていくきっかけとなりました。
印刷技術がさらに発展していくにつれて活版印刷も衰退していきますが、最近ではその独特な風合いが再評価され、ポスターやカードなど、主にクリエイティブなシーンで使われることが少しずつ増えています。

スタジオ内には、さまざまなフォントやサイズ感で
A〜Zまでの版がずらりと並んでいる。

長池さん: Letterpress Lettersに置いてあるのは、主に40〜60年代の木製の版です。A〜Zまでとなると、まずは版を集めていくのが大変で、とくに人気の書体のものをフルセットで見つけるのはなかなか難しいですね。


メタルと木製の版の違いを話すと、サイズ感。メタルは大きくなるにつれて重さがでてしまうので、小さい版に使われることが多いです。
メタルのほうが少しシャープになる印象がありますね。

紙の大きさに合わせた木枠に、フォントの棚から
印刷したいフォントをピックアップして並べていく。

長池さん:パソコンでデザインをするときは、文字の大きさやフォントは1クリックですぐに変えることが出来ますが、活版印刷はそれとは真逆の考え。
フレームに沿って文字のバランスや大きさを見ながらデザインを組んでいきます。少しパズルのような感覚に近いかもしれません。
組んでいくなかで、デジタルでは起こり得ないものができたりするのでそれが楽しいところでもありますね。


ということでしっかり活版印刷について学んだらいよいよ実践。スタッフさんの手を借りつつではありますが、印刷の工程を体験しながら学ばせていただきます。

いざ活版印刷を体験!

まずは、洋服が汚れてしまわないようにエプロンを装着し、
これから行う作業に緊張と楽しみが入り混じる3人。

今回刷るのは「niko and ... TOKYO」10周年を記念し、「Letterpress Letters」とコラボレーションして出来たオリジナルデザイン。刷っていく文字を棚からピックアップしていく。

そして、いざ、印刷機が置いてある下のスタジオへ。ここには1960年代に作られたヴィンテージのレタープレス機が4台並んでいます。印刷の説明はLetterpress Lettersスタッフ吉村さんへバトンタッチ。

吉村さん:4台あるうちの3台は60年代から70年代に使われていたアメリカのチャレンジという機械です。残りの1台はドイツ製のアズバンというもの。仕様は同じなんですが、仕組みや機械の見た目に無骨さがあるところが違いですかね。

それらの印刷機に先ほどピックアップした文字を印刷機の枠にはめていきます。

吉村さん:普通のプリンターとの大きな違いは、一度に違う色を刷れないこと。赤色は赤のインクのみ、黒は黒のインクのみと、機械ごとに色を分けて刷っていきます。なので、完成時の仕上がりを考えて、色ごとに枠へフォントをはめていきます。

インクはもともとある色味もあるが、インクを調合して新しい色を作ることもあるそうです。

そして、インクを印刷機のロールへ。自動で回転し、ロールに満遍なく色が乗っていきます。

まずはスタッフの吉村さんが試し刷り。

吉村さん:木製の版は、どうしても使っていくうちにすり減っていってしまうので、
文字ごとに高さが変わってきてしまうんです。
こうしてかすれてしまうのは、それが理由。
くっきりと写らなかった部分は、裏面に紙を引いたりして、少しずつ調整していきます。

一通り調整もしていただいたところで、ようやくniko and ...スタッフが印刷。
まずは足もとにあるペダルを踏みながら、紙をセットしていきます。

紙がセットできたら、サイドにあるハンドルをぐるりと回していく。松村も少し緊張の面持ち。

松村:意外と、ハンドルが重くてびっくりです!

ハンドルを最後まで回していくと、紙がロールから離れていくのでそこが終了の合図。

和田:きれいに刷れてて嬉しい〜!

そして他のメンバーも、赤のインクから黒のインクへと次々に刷っていきます。

赤と黒のインク、それぞれが刷り上がったが、最後の難関が待ち受けていた。それは、このデザインで一番小さい書体である「10th anniversary」の箇所。ここの部分は木の版がないため、オリジナルで制作。10の1の部分が、TOKYOのTの字と重なってくるという細かさです。

最後の集中力を絞って、完成!多少のズレはご愛嬌。
デジタルの印刷機では味わえないインクの質感や、プリントのかすれ具合も活版印刷のよさのひとつです。

体験を終えて…

無事完成したスタッフ3名に、
今回の感想をインタビュー。

松村(左):事前に説明を聞いてはいたものの、同じ色を印刷する場合でも、文字の大きさやバランスによって、それぞれ分けていることに驚きました。実際に自分が手を動かすことで、改めてこんなに手間がかかっているんだと理解できました。

大橋(中央):最後の細かい部分が、ズレてしまったの残念ですが、これも自分だけの味と思うと愛着が湧いてきます。でも、凝り性な部分もあるので、できることなら、このズレてしまった部分をしっかりと合わせたくなりますね。貴重な体験ができて、すごく面白かったです。

和田(右):恥ずかしながら、活版印刷のこと自体を知らなかったんです。でも、こうして実際に体験させてもらうことで、印刷の風合いや、色の出方など、いつも見ている印刷物とはまったく違う温もりのようなものを感じられることができました。背景を知ると、モノに対してさらに愛情がわきました。

niko and ... TOKYO店
10周年を記念して、
Letterpress Lettersの
POP UPを開催!

3月1日(金)より、活版印刷とリソグラフの制作スタジオ「Letterpress Letters」のポップアップストアを開催します。「Letterpress Letters」の通常のラインアップに加え、誌面でも登場したniko and ... TOKYO店10周年デザインのコラボトートバッグやノートを展開いたします。

日程:3月1日(金)~3月31日(日)
場所:niko and ... TOKYO
住所:東京都渋谷区神宮前6-12-20 J6FRONT 1F・2F

Photo | Daisuke Yamamoto
Text | Fumika Ogura
Web Design & Development | DENBAK-FANO DESIGN
Edit | Masaya Umiyama